7月22日にベルーナドームで行われた埼玉西武ライオンズ対東北楽天ゴールデンイーグルスの一戦で、見事なライトゴロを完成させた西武・野手陣の“超・攻撃型守備”が野球ファンの間で話題となっている。
【映像】プロ技!天才的な連携プレーが生まれる瞬間
1-0で西武1点のリードで迎えた5回表、楽天は西武先発・今井達也を攻め、無死満塁に。ここで迎えた楽天の1番・村林一輝に対し、今井はカウント1-2と追い込むも、5球目、外角やや低めのスライダーを上手くライト前に弾き返されることに。この打球、低い弾道で一、二塁間を痛烈に破り、ライト前へと抜ける一打となったが、ここで二塁・外崎修汰は打球をダイレクトキャッチできるかのような仕草を披露。
ある種のフェイントともいえるこの仕草に惑わされる形で、一塁走者の太田光はスタートが一瞬遅れ、慌てて走り出すことに。しかし既にその頃、ライトの岸潤一郎は全力前進で打球を抑えると、各走者の動きを一瞥して把握した上で、素早く二塁へ送球。すると、その送球を予めわかっていたかのように、ショートの源田壮亮も素早く二塁へとカバーに入り、太田は無念のタッチアウトに。逆に西武にとってはマウンドの今井を助ける貴重なプレーとなった。
そもそも「無死満塁のピンチでのライト前」というこの場面、通常であれば、三塁走者に加え、二塁走者の本塁侵入を阻止する目的で、ライトは走者牽制の意味でバックホームするという形も多い。実際、二塁走者が俊足で知られる辰己涼介であることを考慮すれば、そうした形をとるのが無難であると見る向きも多いことであろう。しかし今回のケースでは、外崎のフェイク、源田のカバー、そして岸の打球処理&送球と、失点を最小限に食い止めようという意識の下、それぞれが好判断をする形で完成度の高い連携が行われ、結果としてバックホームではなく、二塁への送球によるライトゴロという形となっている点が興味深い。そしてこのプレーからは、それこそ無念のサヨナラ負けを喫した7月6日の千葉ロッテマリーンズ戦(東京ドーム)で岸が披露した“センターゴロ狙いの一塁送球”ではないが、どんな状況下であっても諦めず、それぞれが最善の策を考え、その思考に基づいてプレーするという姿勢を垣間見られるのだ。