総務省消防庁によると、7月24~30日の1週間に、全国で1万1765人が熱中症とみられる症状で救急搬送され、2022年の同じ時期の約1.8倍の人数となっている。全国で18人の死亡が確認されたほか、3週間以上の入院が必要な重症者は275人に上った。
庭なども含む住居での発生が4割超えと最も多く、年齢別では65歳以上の高齢者が半数以上を占めている。
一方、文部科学省は、山形県で部活動から帰宅中の女子中学生が熱中症の疑いで死亡したことを受けて、全国の教育委員会などに学校での熱中症対策の徹底を求める通知を出した。 熱中症対策として、気温が高くなる前から適切な水分補給をすることや、それぞれの学校の危機管理マニュアルなどを基に部活動の実施基準を決めておくことなどが挙げられている。
日本スポーツ協会が公開している啓発動画「スポーツ活動中の熱中症予防」では、「氷水浴法」と「水道水散布法」を救急処置として推奨している。
「氷水浴法」
・ビニールプールなどに氷水を溜め、服は着せたまま傷病者の全身を漬ける。
・複数人で役割を分担し一刻も早く体を冷やす。
・身体に常に冷たい水が当たるように水をかき混ぜる。
・脇の下にタオルを通し引っ張ることで溺れないようにする。
・常に声をかけて、意識状態を確認する。
・直腸温が39.5度になるまで、あるいは意識がはっきりするまで冷やす。
「水道水散布法」
・水道の近くの日陰で、地表面が冷たい場所へ傷病者を運ぶ。
・タオルなどで頭部を保護して下ろす。
・靴を脱がせる。
・直腸温を計り、時刻や処置内容などを記録する。
・顔を除く全身(体幹、上肢、下肢)に水をかけ続ける。
・常に声をかけて、意識状態を確認する。
元競泳日本代表選手でJOC理事を務める、スポーツジャーナリストの松田丈志氏に話を聞いた。
「アスリートもパフォーマンスを高め、維持するためにさまざまな暑さ対策をしている。例えばマラソンでは、レースの前に氷水に入って身体を冷やす。深部体温を冷やして、体の中が冷えた状態でレースに入っていくと、体温の上昇が緩やかに、または上昇を遅くする役割があり、暑さ対策にいいと言われている。実際に走っているときにも氷が入った帽子を常に入れ替えてかぶったり、氷を握って走ったりする。他にも、トライアスロンでよくやっているのは、とにかく水を身体にかける。身体に付いた水分が汗の代わりになり、蒸発するときに熱を奪ってくれる作用がある」
「一般の皆さんがやりやすいのは、体温が高い状態を長く続けないこと。外に出て暑くなるのはいいと思うが、冷房が効いた部屋で一旦クールダウンしたり、アスリートであればレースの後に氷水に入って冷やすなどするといい」
━━急激に冷やして大丈夫?
「実際に倒れている人がいると、水をかけたりして冷やしていいのか心配だと思うが、救助者の様子を見ながら対応するのは大事だし、まずは119番に連絡することも大事」
(『ABEMAヒルズ』より)