「所得上限を設けて再分配。“大谷選手も1億円しかもらえない”でいいと思う」 斎藤幸平氏が提唱する“脱成長”3つのポイント
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 日本で猛暑が続き、世界でも豪雨や熱波など異常気象が伝えられる中、気候変動を止める方法として「脱成長」という考え方が注目されている。

【映像】斎藤幸平氏が提唱“脱成長”3つのポイント

 2020年に著書『人新世の「資本論」』でいち早く訴えていたのが、東京大学大学院准教授の斎藤幸平氏。『ABEMA Prime』では、実現に向けてポイントとなる3つの要素について話を聞いた。

 脱成長とは、経済成長やGDPを追い求めるのを止め、環境や幸せ、平等を重視した持続可能な社会に転換していく考え方。「不幸や不況になる?」「全産業が廃れる?」などの不安の声があがるが、そうではないという。生活に必要なサービスは充実させ無償で提供、必要な産業の成長は否定しないというものだ。

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 そんな中、斎藤氏は“行きすぎた富”に疑問を呈する。「頑張ってお金持ちになった人たちが世の中のロールモデルになるのは、資本主義だから当たり前だ。イーロン・マスクとか、前澤友作さんとかだ。一方で、彼らと同じ社会に、子どもの給食費が払えない人がいるのはおかしい。“もうちょっと平等でいいのではないか”と言う人がもっといていい」。

 富の再分配も必要だと指摘し、「フランスの経済学者のトマ・ピケティは、お金持ちの下に生まれた人が相続でまたお金持ちになる社会はおかしい、相続税をもっと高くすべきだと言っている。1つの考え方として、お金持ちの遺産を再分配していくのは平等主義的な発想がある。例えば、生まれた瞬間に口座に1000万円ぐらい振り込まれていて、自分で好きに使える社会。親が使ってしまうなど問題はいろいろ出てくると思うが、アイディアはある」と述べた。

 脱成長に向けて、斎藤氏は「コモン」「所得に上限」「週休3日制」という言葉を使う。コモンとは、水・食料・電力・住居・医療・教育など「ないと生きていけないもの」は商品化せず、市民自らが民主的に管理すべき公共財。これが経済格差の是正や労働時間の短縮、環境負荷の軽減につながるとしている。

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 「日本人は働きすぎだ。私は脱成長コミュニズムというものも提唱していて、もう経済のパイが大きくならないのであれば、もっと色んなものをシェアするべきだ。教育や公共交通機関、電気、水道など、みんなが必要とするものはできるだけ無償にしていく。民営化ではない形でそれを保持していくために、炭素税や富裕税を使っていくべきだ」と説明。

 2つ目の「所得に上限」も、再分配のための財源とするものだ。「日本の場合、所得税の上限は40%に住民税などを加えた50%ぐらい。2億円、3億円と稼ぐほど増えていくが、1億円ぐらいを上限に、それ以上儲けても国が持っていくようにする。ほとんどの人には関係ないので、もっとみんな声をあげたらいいと思う」。

 とはいえ、その人たちが生み出しているものも大きいのではないか。「彼らがやっていることも、その下で働いている人たちがいなければ成り立たない。彼らにはお金の代わりに天皇から賞が贈られるとか、別のもので対価を得られるようにする。つまり欲望のベクトルを変えていく。今の社会で欲望をドライブさせすぎた結果、地球がボロボロになっているとすれば、うまく制限をかけて、彼らが政治やボランティアなどに関心を持つする。社会も絶対良くなると思う」との考えを述べた。

 3つ目の「週休3日制」については、「技術が発展しているのにこれだけみんな働いている。色々なものが24時間動き、エネルギーを無駄にしているのはおかしい。私たちはもっと休んでいい。ヨーロッパではすでに社会実験が行われているが、生産性はあまり変わらないという結果も出ている」と話す。

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 そうした考えは、いわゆる共産主義とは違うのか。全体として貧しくなることにはならないのか。斎藤氏は「コミュニズムだし、似ているところもある。ただ、今の資本主義みたいな社会ではなくなる」とした上で、「週休3日制と所得上限くらいでそんなに働かなくなるのか。1億円だって自動的には貰えるわけではないし、ある程度の格差はあるので、みんな働くと思う。ただ、週休3日になってみんながガンガン飛行機に乗ったら環境にやさしくない。だから私たちの幸福や人生の目的を変えていくことが必要。企業がまず導入してくれたらいいと思う」と述べた。

 所得上限によって様々なスポーツ・文化が頭打ちになってしまわないだろうか「“大谷選手はあんなにすごいのに1億円しかもらえない”となってもいいと思う。私が目指しているのは、すごい選手たちだけの試合を、高い放映料を払ってテレビで見る社会ではない。高校球児があれだけ野球を頑張っているのに、卒業した途端にやらなくなり、必死に働く。そうではなく、彼らも働きながら週休3日でずっと野球を続けられるような社会だ」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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