将棋の藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が、8月4日に大阪・関西将棋会館で行われた王座戦挑戦者決定トーナメント決勝で豊島将之九段(33)を破り、自身初となる王座挑戦権を獲得した。現在行われている「伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負」を戦う藤井竜王・名人だが、防衛を達成した場合、王座戦は前人未踏の“八冠制覇”に挑むシリーズとなる。名誉王座獲得を狙う永瀬拓矢王座(30)と激突する注目の五番勝負は、8月31日に神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕する。
【映像】藤井竜王・名人VS豊島九段 大熱戦となった決勝ハイライト
若き絶対王者の藤井竜王・名人が、前人未踏の夢の舞台へと上がる。決勝戦は、これまでに4期のタイトル戦を含む32局を戦った豊島九段との対戦に。後手の豊島九段は、序盤から工夫を見せた後に相雁木へと誘導した。細かな駆け引きの後に、寄せ合いの勝負となった。形勢は終盤まで互角が保たれていたものの、夜戦突入後に先に藤井竜王・名人が詰めろを掛けるとABEMAの「SHOGI AI」はじわじわと先手側へ。豊島九段が一瞬の隙に反撃に出ると形勢は再び互角へと押し戻される大熱戦に。二転三転と形勢が入れ替わるスリリングな終盤戦を最後に藤井竜王・名人が押し切り、初の王座挑戦権を獲得した。
現在防衛戦の王位戦七番勝負を戦う藤井竜王・名人だが、4連覇達成にはあと1勝と迫る。8月15・16日には第4局が予定されており、この七番勝負で佐々木大地七段(28)の挑戦を退けた場合、前人未踏の“八冠”獲得が懸かるシリーズに挑むことになる。終局後、藤井竜王・名人は「王位戦もシリーズ中ですし直ちに意識することはない」としながらも「挑戦できるというのは貴重な機会だと思うので、しっかり全力を尽くしたいと思います」と意気込みを語った。
一方、藤井竜王・名人の大挑戦を待ち受けるのは、王座4連覇中の永瀬王座だ。藤井竜王・名人のデビュー以来の研究パートナーとしても知られており、タイトル戦での激突は前期のヒューリック杯棋聖戦五番勝負以来2度目。絶対王者を破った場合は、5連覇達成者または通算10期獲得者のみに与えられる永世位の“名誉王座”を獲得することになる。歴代の名誉王座獲得者は、中原誠十六世名人(75)と羽生善治九段(52)の2人。
将棋界内外を巻き込むことになる注目の五番勝負は、8月31日に神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕する。
<第71期王座戦五番勝負スケジュール>
第1局 8月31日(木)神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
第2局 9月12日(火)兵庫県神戸市「ホテルオークラ神戸」
第3局 9月27日(水)愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」
第4局 10月11日(水)京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」
第5局 10月30日(月)山梨県甲府市「常磐ホテル」
◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。2023年度には最年少で名人位を獲得し、史上2人の七冠保持者に。獲得と防衛を重ねて、竜王2期、名人1期、王位3期、叡王3期、王将2期、棋聖4期の通算16期。棋戦優勝は9回。通算成績は335勝66敗、勝率は0.835。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)