J2首位・町田のレジェンドともいえる男の移籍に、俳優・谷原章介が涙した。
7月27日、2009年からのべ13年にわたってプレーしたDF・深津康太が、J3・いわてグルージャ盛岡へ加入すると、クラブより発表。元北朝鮮代表・鄭大世氏も自身のSNSで「正直ショックすぎる」とコメントするなど注目を集めた今回の移籍について、深津の大ファンを公言する谷原氏がその想いを吐露した。
深津は、文字通り町田を支え続けた男だ。J1・名古屋グランパス、J2・水戸ホーリーホックなどでキャリア序盤を過ごした深津は2009年、当時、JFLに所属していた町田に加入すると、中軸選手としてディフェンス陣を統率。2011、2012シーズンにJ2・東京ヴェルディでプレーしてから再び2013シーズンに復帰すると、町田のJ3昇格の立役者の一人となった。
2015シーズンのJ2昇格を決めたプレーオフももちろん、ピッチに立っていた。Jリーグ通算記録は、J1で4試合、J2で337試合、J3で63試合。今季の初めには、Jリーグ通算400試合出場を達成した。1984年生まれ、8月10日に39歳を迎えるが、心身ともに第一線で戦う闘志をまとい、今シーズンもJ2で首位を快走するチームを鼓舞してきた。
だが、シーズン折り返し時点で、リーグ戦は5試合、天皇杯は2試合と、出場機会は数えるほど。移籍に際して「僕のサッカー人生最後の夢は、町田でユニホームを脱ぐことでした。そのために愛情と情熱を持って、後悔のないよう日々プレーしてきました」と語ったように、クラブへの強い気持ちは、偽りのないほどに大きかった。
それでも「40歳の僕もサッカー選手でいたい」という想いを反芻し、盛岡からのオファーを受けたのだ。
クラブへの愛情と、自身の野心。言葉にできないほどの葛藤の末に導き出した結論。その挑戦を、町田を愛するサポーターの一人も、複雑な想いで受け止めた。“ゼルサポ”歴18年の俳優・谷原章介だ。
谷原氏は8月4日に放送された番組内で、涙ながらに深津の移籍に言及した。
「まだ気持ちの整理がついていない。今季は出場機会が減ったなか、アップする姿を見ることが多く、でも動いている姿を見られることがファンの僕としてはとても嬉しかった。でも、試合で躍動する姿を見たかった。活躍してほしいという思いからすると、出場機会を求めて移籍する気持ちはすごくわかる。ただ、13シーズン、ゼルビアのために本当に働いてくれて……一緒にJ1に行きたかった。J1のゼルビアのピッチで躍動する姿を見たかったし、そこでユニフォームを脱いでもらいたかった」
谷原氏は、自身の車の鍵に"背番号5"のキーホルダーを愛用している。「宝物」というそれは、ガチャガチャで引き当てたものだという。かねてから大ファンを公言していた谷原氏にとって、5番は特別だった。涙を堪えきれないまま、こう続ける。
「(移籍は)プロスポーツ選手の宿命。ご自身もすごく悩まれた。本当に選手として40歳までやりたいという目標を全力で応援したいし、感謝しかない。一番辛いのは深津さん。38歳ですから、まだまだできますよ。できると信じています」
盛岡は現在、J3の20チーム中13位と苦戦している。次戦は6日、14位・AC長野パルセイロとの負けられない一戦だ。出場機会を求め新たな舞台を選んだ深津は、ピッチに立つのか。一つ間違いなく言えるのは、彼はどんな時も、チームを鼓舞する姿を見せてくれるということだ。「まだまだできる」。谷原氏の想いもきっと、深津の背中を後押しするだろう。
(ABEMA/ゼルつく)