奈良県が公共事業「中止連発」で4730億円削減?「そこまでやって大丈夫?」の声に維新・山下知事が回答
【映像】山下知事が中止にしたものリスト
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「実施予定だった29事業の全部または一部を中止することで将来的におよそ4730億円の予算削減につなげる」

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 72年ぶりに現職知事を破り、奈良県のトップに就いたのは日本維新の会、山下真知事。前知事が進めていた数々のプロジェクトにメスを入れた。

 削減によって浮いた予算は「教育・子育て支援・医療・福祉など、県民の生活に直接関係のある分野のソフト事業を中心に使っていく」としているが、Xでは「大学新設も中止?若者が他県に流れないかな」「無駄かどうか、しっかり議論すべきでは?」「無駄な予算は削るべき、改革には反発がつきもの」などの声があがっている。

 公共事業の見直しには一体どんな狙いがあるのか。『ABEMA Prime』では、知事本人に話を聞いた。

奈良県が公共事業「中止連発」で4730億円削減?「そこまでやって大丈夫?」の声に維新・山下知事が回答
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■新知事ってどんな人?

 山下知事は1968年、山梨生まれ。東京大学を卒業後、新聞記者となったが、その後は弁護士に転身。そして2006年、奈良・生駒市長(3期9年)となり、今年の5月に奈良県知事となった。

━━新人が現職を破ったのは奈良では72年ぶり。勝因はどこにあった?

前知事が進めようとしていた政策には疑問のあるものが多く、コロナ時の対応にも課題があったように思う。私は以前、生駒市長を9年間務めていたが、その時の実績を覚えていてくださった有権者もいたようだ。『山下なら何かやってくれるのではないか』という信頼があったのでは。

━━日本維新の会としては、大阪に次いで2人目の知事。なぜ維新から出馬したのか。

これまで無所属だったが、維新のほうから出ないか?と誘いがあった。生駒市長の時代に進めていた政策は、維新が行っていたものと共通性があり「政策面で違和感がないので一緒にできる」と決断した。

■大学も国体施設も中止して大丈夫?

 山下知事によって「全部中止」となったのは国道整備、国体開催用施設整備など12事業。「一部中止」となったのは、県立工科大学新設、リニア新駅鉄道整備、私鉄路線の移設・駅の高架化、大規模広域防災拠点の整備などの17事業だ。

━━どのような基準で、事業の中止を決めたのか。

「事業が本当に必要かどうか」「費用対効果が高いかどうか」「民間でもできるか」。あるいは、わざわざお金をかけて公共事業にするのではなくて、ソフトによる政策で対応できないか、などの観点で判断した。

━━中でも注目されているのが県立工科大学の新設だ。用地買収も始まっていて、事業として走り出していた計画を止めた理由は?

まず、大学は学生が県をまたいで動くため、役割を担うのは国と私学だ。新設しようとしていた県立工科大学には「若者の県外流出防止」「優秀な人材育成」という狙いがあったが、そもそも県内には工科系の大学があるし、文系の県立大学の卒業生については、1割しか県内企業に就職していない。つまり、目的達成のためには「大学設置」よりも「魅力的な企業の誘致、あるいは既存の県内企業の魅力を高めること」こそが効果的なのだ。

━━用地を提供した中には「大学の新設だから、先祖代々の土地を提供したのに、詐欺に遭ったようだ」という気持ちの方もいるようだが?

今年度予算として用地の取得・管理に約37億円をかけて購入していたが、新たにキャンパスを作るとなると400、500億円ほどかかり、ランニングコストも県から持ち出すことになる。「土地を買ってしまったから、そのまま走る」となると、もっとお金を無駄に使うことにもなりかねない。傷は浅いうちに対処したほうがいい。

━━国体開催用施設整備の「全部中止」についても聞きたい。国体の主会場として計画が進んでいた橿原市の市長は「いずれの事業も県と市が議会に諮るなど手続きを踏んできた。知事の考えだけで覆すのは疑問。これまでと違ったことをするのであればしっかりと説明をしてほしい」「知事が変わったら今までの議論が一瞬で消えてしまうというのはちょっとおかしいんじゃないか」と発言しているが。

国体に合わせて建物を新しくするのではなく、今の施設が本当に使えなくなった時に、用地の選定から始めた方が、将来世代からは喜ばれるはずだ。また、選挙で知事が変わっても政策が変わらないということであれば、何のために選挙をやったのか分からない。中止する事業は精査した上で私が公約に掲げ、県民が支持した。その通りにやらねば政治への信頼をなくしてしまう。とはいえ、もちろん引き返せない事業は存在し、私も取り組んでいる。

━━一方で、その前に推し進めてきた議会の議員たちも有権者から選ばれている。ねじれてしまっていることに問題はないのか。

最終的な目的は、教育や福祉の充実などだ。その山に登るルートが違うということを、県民・地権者のみなさんには説明した。県立大学の土地の件もそうだが、すぐには理解していただけないと思うが、いずれ成果が出てくれば、私の意図も分かってもらえるんじゃないかと期待している。

■削減した予算は何に使うのか?

━━削減した予算でどのような奈良を作っていくのか。

奈良には豊富な観光資源、さらにはiPSの山中教授も在籍していた奈良先端科学技術大学院大学という特化した大学、あるいは世界トップクラスのシェアを誇る工作機械メーカーもある。そういう資源や先端的な研究や企業をPR・バックアップすることで今より魅力ある県にできる。

教育や子育て支援、医療福祉、生まれてから最期を迎えるまで安心してサービスを受けるためにはお金もいる。そのため、きちんと県民の所得を上げ、自治体にも税収が入って来るように観光や産業、先端科学の分野で世界でも競争できる産業を誘致することで、公共事業に頼らずに持続できるような、自治体経営をしていきたい。
(『ABEMA Prime』より)

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