11歳の頃からてんかんに苦しむ竹本さん(30代)。普段は普通に話すことができるが、発作が出ると呂律が回らず、ぼーっとするのだという。
【映像】てんかんの発作「顔をなでる」「口をもぐもぐさせる」なども
てんかんは日本人の約100人に1人の割合で発病する脳の病気だ。3歳以下の発病が最も多く、出生時のトラブルや脳出血など脳に損傷を受けた場合に起こるてんかんと、検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかんの2つに分けられるという。
症状や頻度は人それぞれだが、発作は2つに分けられる。はじめから意識がなくなる「全般発作」と動作が停止したり手足がピクンと動く「焦点発作」だ。これらは意志と関係なく起こるためコントロール不能で、いつ起こるかも分からない。
当事者が感じているのは「仕事への壁」だ。竹本さんは塾講師をしていたが、職場で倒れたことをきっかけに、上司から「授業中に発作が出たら生徒たちがトラウマになるから辞めてくれ」と言われ、クビになったという。
その後、派遣の仕事が見つかったが、派遣元からは職場ではてんかんを隠すよう指示があったという。竹本さんは発作が出た際の対処法を伝えられないことに不安を覚えているという。『ABEMA Prime』では、てんかん患者の就職・仕事について考えた。
てんかんを理由に仕事を辞めざるを得なかった人たちは多い。
・調理師になりたかったが「包丁を扱わせるのは…」と言われてしまった
・営業先で発作が起きたことで取引先からクレームを受け、会社から「営業は無理。辞めるか?」と言われ退職
・急な発作で欠勤や遅刻が増え、申し訳なさから退職
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「調理師になりたかった方と取引先からクレームを受けた方の退職は別のレイヤーの話だ」と指摘。
「『営業は無理』と言われた方は、労基署に駆け込むべきだ。これは職場の理解うんぬんの前に単純に一企業としての倫理観やモラルが欠如している。人権意識が欠如した取引先との関係を断つぐらいの社会的な風潮を作らない限り、理解は永遠に進まない」
日本てんかん学会専門医の菅野秀宣氏は「抗てんかん薬で止めるという方法以外にも、発作を起こしている焦点を見つけて外科的に摘出する方法もある」と解説。薬物治療で70%の患者が1年以上発作をおさえられるという。
これに大空氏は「薬である程度抑えられるという理解がないのか。それとも、理解した上で難しいと判断しているのか。ここを見極める必要もある」と発言した。
WEBクリエイターのシモダテツヤ氏は「職場には健康な人ばかりというのが、当たり前じゃない。誰でも寿命があるし誰にでも具合が悪いことはあるだろう。てんかんも多様性のひとつとして捉えるなど、社会がどう認識するのかが大事だ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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