大手中学受験塾「四谷大塚」は13日、講師の男性社員が女児生徒を盗撮していたとして、社員を懲戒解雇とし、警察に通報したと発表した。
そんな中、国が議論を進めているのが「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」だ。これは子どもに接する職業に就く際は、性犯罪歴がないことの証明を求める仕組みで、秋に予定されている臨時国会での法案提出を目指している。
しかし、この対象となる職業が「保育園や学校に限定される可能性がある」と一部で報じられると疑問の声が噴出。認定NPO法人 フローレンスは「学習塾やスポーツクラブなども含めたあらゆる場面において、子どもを性犯罪から守るべき」として、対象を「子どもと関わる仕事すべて」にするよう呼びかけた。
一方で慎重論も。X(旧Twitter)では「更生する可能性、更生後の人権も守りたい」「プライバシーの侵害にはならないのか」との声があがっている。『ABEMA Prime』では、日本版DBSの対象はどこまで広げるべきなのか、どうすれば性犯罪を防げるのか考えた。
■「学校がダメならこっちに行こう」という人も?
四谷大塚の講師と児童の間で起こった件について、小児科・新生児科医の今西洋介氏は「子どもをターゲットにした性犯罪には、『閉鎖的な空間』『力関係が存在』『信頼を得て手なづけるグルーミング』『犯罪が顕在化されにくい』という特徴があり、塾はその多くを満たすため、“起こるべくして起こってしまった”とも言える」と分析した。
日本版DBSの対象範囲についてギャルタレントのあおちゃんぺは「学校には教育委員会など取り締まる組織があるが、塾やスポーツクラブにおける責任の所在はどこになるのか。もし対象に入らなかったら、『学校がダメならこっちに行こう』となるのではないか」と指摘した。
今西氏も「保育園や学校に限定されてしまうのであれば、対象はさらに広げるべきだ。子どもは性被害を受けても、その最中には気づけない。5年、10年と経ってから『あれは性被害だった』と気づくケースが多い。さらにトラウマになると自殺率が5倍になったり、人生を左右してしまうような弊害が出てきてしまう。子どもを守れるような仕組みをしっかり作っていくべきだ」と述べた。
■「犯罪者のプライバシーを守ること」が再犯防止に?
子どもを相手にした性犯罪には、その他の強姦や強制わいせつと比べて「再犯率が非常に高い」という傾向がある。
アメリカでは再犯防止のために、1994年には犯罪者の氏名や住所、顔写真を公開するメーガン法、2005年には「出所後、終生GPS装着の義務化」「学校など子ども関連施設付近に居住禁止」「厳罰化」を行うというジェシカ法が施行された。
今西氏は「韓国では、ジェシカ法と同じように、出所後のGPS装着を行ったところ88%の確率で予防されたという実績が出た。とはいえ、GPSを切って国外逃亡する例も多発しているなど、判断が難しい。厳罰化を進めることで、加害者の家族が吊るし上げられる例もある」と懸念を示した。
法の運用と厳罰化の注意点について、タレントのパックンは「DBSが管理している情報が表に出回らないように徹底することが大事だ。性的犯罪者のプライバシーを守ってあげないと、逆に犯罪率が上がるという研究結果もある。情報が公開されたことによって、社会で暮らしづらくなって『塀の中の方が楽』だと考えてしまうと再犯率が上がってしまう。子どもに接する職業に就くことを防止しながらも、更生のチャンスを与える。そのバランスが大事だ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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