世界的に新型コロナによる移動制限が緩和され、一気に外国人観光客が増加した日本。しかし、X(旧Twitter)には「人手がなくて、ホテルがフル稼働できない」「今年に入って、一気に外国人が増えてゴミも増えた」など観光地から悲鳴が上がっている。観光客の著しい増加により、観光資源や地元住民に負の影響を与える「オーバーツーリズム」を訴える声が増えているのだ。
京都では観光客の増加でバスが混雑し市民が利用しづらくなるなど、生活にも大きな支障が出ており、京都市は観光客だけ運賃を高くする案を国に要望している。
中国の団体旅行解禁でさらなる観光客増加が見込まれる中、『ABEMA Prime』では、オーバーツーリズムの解決策を考えた。
「懸念されるオーバーツーリズム」には
・混雑で住民が公共交通機関を使えない
・交通量が増えて渋滞する
・電車内での会話やスーツケースが迷惑に
・私道への侵入や撮影禁止場所での撮影
・日本人がホテルに泊まれない/違法民泊の増加
などがあるが、そもそもオーバーツーリズムはなぜ起こるのか?
流通経済大学国際文化ツーリズム学科准教授の福井一喜氏は「『急に』『たくさん』『異質な人々』が集まることで起こる。3つの条件のうち一つでもなくす工夫が有効だ」と解説した。
“混雑に懲りた観光客”が分散することはないのか。福井氏は「ポイントはSNSだ。例えば鎌倉の“ただの踏切”や、京都の地元の人しか知らない穴場スポットの情報が投稿されて火がつくこともある。しかし、往々にしてそういった場所にはキャパシティがない。これが観光のジレンマで、来てほしい場所と、行きたい場所が重ならない」と説明した。
作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「この3年間でホテルは人手不足が悪化した。解決案としてはダイナミックプライシングを導入して、外国人観光客から2倍の料金を取るなどしてそれを賃金に当て、離れてしまったスタッフを呼び戻してはどうか。また、タクシーの運転手も元々高齢だった人がコロナ禍で廃業したケースが多い。これについてはライドシェア解禁で解決できる。田舎の車を持っている人たちの小遣い稼ぎにもなるのでは」と提案した。
海外ではオーバーツーリズムの解決策として観光税を引き上げたり、入園料を割高に設定するなどしているという。福井氏は「これは広く見られる現象で、日本にも入湯税や入山料が既にある。極端な話だが、観光客が来ることですり減った道は地域住民の税金で補修している。外から来た人が楽しんでいるのに、そのツケを地域住民のみが負担するのはおかしい。その点を解決する仕組みなのだが、問題はプロセスだ。タイのように外国人に5倍・10倍の入園料を払ってもらうのは、国際的な立場もあり日本では難しいだろう。どうすれば支払う側の方々に受け入れてもらうか、丁寧なプロセスを踏むことが重要だ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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