森永卓郎氏「金融に火の手が…」中国版リーマンショック?「恒大集団」経営危機の影響は
「汗水たらして得たお金を返せ!」現地の様子
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 17日、中国不動産大手の「恒大集団」は、アメリカのニューヨークの裁判所に「アメリカ連邦破産法15条」の適用を申請した。世界に衝撃が走り、日本でも一時、株価が350円あまり下がるなどの影響が出た。

【映像】ひっそりと…北京の「恒大集団」ビル前の様子(動画あり)

 恒大集団では、不動産の売れ行きが悪くなり、未完成の住宅を抱えるなど、資金繰りが悪化していた。2021年には債務不履行に陥り「中国経済悪化の象徴」とも言われた。また、抱えている負債は約48兆円とも言われている。

 これに対し、各地では住宅を契約した市民や債権者たちの抗議デモが頻発。なぜここまで経営が悪化したのか。世界経済、日本への影響はあるのか。

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 ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、『現代中国がわかる最強の45冊』の著者で戦略科学者の中川コージ氏はこう話す。

「人民の一番大きな不満は、間違いなく中国の経済が下がっていくことだ。だが、僕はデフレが一番怖いと思っている。中国当局は共産的な発想でインフレを恐れているが、デフレに関してはあまり警戒心を持っていない。これが危ない。金融的なシステミックなリスクが日本にも波及するかもしれない」

 中国に輸出している日本産の商品や、株などが影響を受けるのか。

 中川氏は「もちろんミクロではそういったことが起こる。例えば、リーマンショックが起きたとき、世界的な金融システムがうまくいかなかった。物価が落ちると、いわゆる景気循環が悪くなる。信用創造ができなくなると、当然ながら対外的にも日本も影響を受ける。かなり多岐にわたって、中国からの見えない“マイナス”が輸出されるだろう」と答える。

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 経済危機に陥った中国が利害に基づいて、国際秩序を乱す行為をする可能性はあるのか。

「中国は徹頭徹尾、野心的かつ覇権主義的だ。GDP(国内総生産)第2位の中国は第1位のアメリカを凌駕したい。だが、今戦ったら損だ。僕はいつも『中国は“戦いません、勝つまでは”だ』と言っている。この動きは建国100年に当たる2049年ぐらいまで続くと思う。中国が戦いに来るなら、日本は『日米同盟でやりましょう』という話になるが、むしろ戦わずにどんどん中国が強くなっていくほうが怖い」

 日本のような民主主義国家で公的資金を投入する場合、国会の議論が必要で時間もかかる。大手不動産会社の危機に、中国は日本よりも素早く対応できるのではないか。

「PPI(生産者物価指数)、CPI(消費者物価指数)、ZEW(景況感指数)がそれぞれ落ちている。このタイミングで不動産も同時に来て、中国当局は当然『まずいな』と思っている。だが、当局は考えた上で不動産を見捨てた。個別案件は、ある程度コントロールできる。当局にとって、何が想定外だったか。新型コロナの流行と、そこからの回復がちゃんとできていない。景気が落ちっぱなしになると、本当にデフレに入っていく。そうなると、もう中国当局もコントロールできない」

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 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「サブプライムのときは不良債権が160兆円ぐらいだったので、48兆円は4分の1ぐらいだ。その規模で世界に何か起こると考えると、けっこう大きいのではないか。アメリカもシグネチャーバンクやシリコンバレー銀行が破綻していて、かなり微妙なところだ」と指摘する。

 経済アナリストの森永卓郎氏は「中国で赤字を出しているのは、恒大グループだけではない。他の大手企業もけっこう赤字を出している。不動産業界全体の問題だ。リーマンショックの時も、最初は何十兆円という小さい数字を言っていたが、どんどん膨れていった。今回も同じように金融に火の手が広がっていくのではないか」と話す。

「リーマンショックをどうやって乗り切ったか。世界中の中央銀行がバンバン金融緩和をして、お金をジャブジャブ出して、バブルを起こして世界経済を救った。今回はアメリカもヨーロッパもインフレで金融緩和できる状況ではない。一度落ち始めると、コントロールは非常に難しいと思う。日本は1990年にバブルが崩壊して、7年後に金融危機が起こった。今回もすぐ何かが起きるのではなく、何年かかけてヤバいことが起こると思う。中国は数字がまともに出てこない国だから、どれくらいの年数がかかるか、本当に分からない」

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 中国当局では、16~24歳を「若者」と定義し、2018年から「若者の失業率」のデータを公表していた。しかし、15日に「若者の失業率」の公表を一時的に取り止めると発表。若者の失業率は、今年4月に初めて2割を超え、その後も増加。6月には21.3%となっていた。

 これに対し、森永氏は「一説には『50%を超えているのではないか』と言われている」と指摘する。その上で「中国の大学生から『全然就職先がない』という話も伝わっている。かなり危ないところに来ているのではないか」と述べた。(「ABEMA Prime」より)

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