処理水の海洋放出 対応遅れの一因、経産省タスクフォースによる「7年間の空理空論」とは?
【映像】上空からの見た福島第一原発

 8月24日から放出の見込みとなった福島第一原発のALPS処理水。その時期については以前から課題となっていたが、今回の決定になぜここまで時間がかかったのか? テレビ朝日社会部・原発担当の吉野実記者に話を聞いた。

【映像】上空から見た福島第一原発

━━そもそもALPS処理水とはどのようなものか?

福島第一原発の1〜3号機では、原子炉内部に溶け落ちた880トンの燃料(燃料デブリ)を冷却するために水を入れて循環させている。その循環させる過程で、放射性物質で汚染された水が出てくるがこれを「多核種除去設備(ALPS)」に通した水をALPS処理水という。ALPS処理水はトリチウム以外の放射性物質については国で定める基準値未満まで取り除くことができる。

トリチウムだけは取り除けないので、海水で国の基準である60,000ベクレルより40 倍薄い1,500ベクレルに希釈して放出する。ちなみに、WHOの飲料水基準は10,000ベクレルだ。

━━処理水は、12年前からずっと発生しているというが、現在どのくらいの量になっているか?

8月3日現在で、約134万トンが福島第一原発の敷地内に建設したタンクの中で保管されている。まだ1年以上は余裕があると見られるが、いずれはタンクを置く場所がなくなる。

━━なぜ政府の対応は遅れたのか?

2013年の9月に原子力規制委員会の田中俊一委員長が当時の安倍総理を訪問して、「処理水は希釈海洋放出しかない」と提言していた。しかし一方で、経産省でも2013年12月に処理水の処分方法を検討する「トリチウム水タスクフォース」を立ち上げて「地層注入」「地下埋設」「水素放出」「水蒸気放出」「海洋放出」の5案をまとめたが、結局7年もの間、“空理空論”を重ねてしまい、その間も処理水は増えていった。

その後、菅政権になり、2021年4月の関係閣僚会合でようやく「希釈海洋放出」が政府の方針として決定された。

━━地元の住民や漁業関係者への政府の対応は?

「地元の了解が得られないうちは放出しない」と東京電力も政府も話していたが、政府の「漁業者から一定の理解が得られた」という言葉を受けて東京電力が海洋放出に踏み切った。

住民や漁業関係者は処理水の安全性を理解しているとは思うが、風評被害が起きないかを懸念している。

━━風評被害の懸念に対して、政府はどんな対策を行っていくのか?

放出が始まれば国と東京電力が海上でのモニタリングや、実際に魚を捕って分析を行うとしている。
また、実際に風評被害が認められて前年より売り上げが落ちた際には、東京電力が補填するともしている。
ABEMA倍速ニュースより)

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