「AI時代の申し子」というイメージから、今では将棋界を代表するエンターテイナーへと転身だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」本戦トーナメント2回戦・第3試合、チーム稲葉とチーム千田の対戦が8月26日に放送された。千田翔太七段(29)はチームメイトの西田拓也五段(31)、藤本渚四段(18)との軽快なトークを展開し、予選からファンを楽しませた。負ければ終わりの本戦に入ってもそれは変わらず、控室でもユーモアに富んだ会話を展開。今回は突如として「穴熊講座」が始まり、ファンからの反響を得た。
千田七段が、いきなり視聴者に向かって「見てますか~?」と微笑みかけたのは第4局の真っ最中。稲葉陽八段(35)と西田五段が、対抗形からの相穴熊戦を展開していた。どちらも経験十分のような戦いながら、振り飛車のスペシャリストである西田五段が、じわじわと自分のペースに持ち込もうと指し進めると、ここでポツリと最年少棋士・藤本四段がつぶやいた。
藤本四段 端をひたすら殴り続けて。▲2四歩が1手パスになれば…。
直前に稲葉八段が指した一手に対して手抜き、端攻めにチャンスがあるという見解を示した。これに反応したのが千田七段だ。
千田七段 視聴者のみなさん、見てますか~?これが穴熊の感覚ですよ。
少々の攻めであれば堅さで跳ね返す穴熊は、いかに自陣の耐久力を見極めて攻め込むかがポイント。藤本四段の感覚が、千田七段の興味をそそった形だ。
藤本四段 穴熊は全然下手なんですけど(笑)
千田七段 こういうの手抜く感覚、大事ですよ。
藤本四段のコメントを千田七段が拾い、さらに視聴者に呼びかけるというやり取りにファンも楽しげにコメント。「見てますよw」「視聴者に語りかける新しい形w」「急に話しかけられたwww」「サービス精神は買うわ」といった声で盛り上がっていた。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)