この記事の写真をみる(2枚)

 8月27日、プロレスリング・ノアABEMA presents N-1 VICTORY 2023』神奈川・カルッツかわさき大会が行われた。

 8.6横浜武道館から始まったNOAH真夏の最強決定戦『N-1』もこの日がリーグ公式戦最終日。A、B両ブロックの1位通過者が9.3エディオンアリーナ大阪で行われる優勝決定戦に進出する。

 Aブロックでリーグ突破の可能性を残しているのは、ここまで4勝0敗2引き分け、勝ち点10のジェイク・リーと、4勝2敗で勝ち点8の拳王。両者がこの日、最後の公式戦で激突。ジェイクは勝つか引き分けで1位通過。拳王は勝てば10点でジェイクと勝ち点が並び、同点の場合、直接対決の勝者が勝ち上がるルールにより優勝戦進出が決まる。拳王にとっては、勝利が絶対条件の一戦だ。

 しかしジェイク・リーは、ここまで『N-1』無敗。それどころか今年1月にNOAHに参戦から一度も負けていないGHCヘビー級の絶対王者。この試合もまずペースを握ったのは、ジェイク・リーだった。

 序盤の張り手合戦を体格差を利して制すと、場外でハイキックを鉄柱に誤爆した拳王の右足を徹底的に痛ぶっていく。拳王も足の痛みを堪えながら必死に反撃を試み、コーナー最上段からのPFS(ダイビング・フットスタンプ)で勝負に出るが、それをかわすとジャイアントキリング(ランニングニーリフト)で蹴り上げ、チョークスラムから必殺のFBS(フェイスブレイクショット=串刺しフロントハイキック)を狙う。

 これは拳王が間一髪かわし、2度目のチョークスラムを跳びヒザ蹴りで撃墜して、複合関節技・拳王スペシャルにいくが、ジェイクは極まる前に素早くロープブレイク。拳王の輪廻(バック転キック)でも倒れず、逆に豪快なレッグラリアットでダウンさせる。

 そしてトドメのFBSにいくが、拳王はカウンターの右ハイキックで形成逆転。一気にコーナー最上段からPFSを決めるが、カウント2.9! 館内に「拳王」コールが起こる中、ならばと切り札の炎輪(ムーンサルト・ダブルニードロップ)で、ジェイクのボディに両ヒザを突き刺し、カウント3!

 ついにNOAH参戦後無敗を誇ったジェイク・リーを破り、Aブロックを突破。優勝決定戦進出を決めた。

拡大する

 一方、Bブロックは、勝ち点8の中嶋勝彦とイホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.と、勝ち点7の潮崎豪と征矢学の4人が1位通過の可能性を残す大混戦。奇しくも公式リーグ最終戦は、中嶋vs潮崎、征矢vsワグナーJr.の4人の直接対決が組まれていた。

 まず征矢vsワグナーJr.は、メキシコ人初の『N-1』優勝に向けて燃えるワグナーJr.が旋回式シッドダウン・パワーボムやワグナードライバーで追い込むも、これを耐え抜いた征矢が起死回生のデスバレーボムから、最後はジャンピングDDTを決めて逆転のピンフォール勝ち。これで勝ち点を9に伸ばし、中嶋vs潮崎の結果待ちとなった。

 中嶋vs潮崎は、中嶋が勝てば10点で1位通過。引き分けの場合、中嶋と征矢が9点で並び公式戦で中嶋を下している征矢が優勝戦進出。潮崎が勝てば、公式戦で引き分けた征矢と優勝戦進出者決定戦が行われる。

 潮崎がBブロックを突破するには、2連勝しなければならない極めて厳しい状況だったが、潮崎は中嶋の凄まじい蹴りを耐え抜き、ヴァーティカルスパイクをフランケンシュタイナーで切り返したあと、豪腕ラリアットを決めて3カウント奪取。AXIZ対決を制し、征矢との優勝戦進出者決定戦に望みをつないだ。

 そして本来メインイベントだったジェイク・リーvs拳王の試合後、あらためて潮崎と征矢がBブロック1位の座を賭けて対戦。試合は、開幕戦で中嶋を破ってから今年の『N-1』の台風の目となっていた征矢が、いきなり体当たりで奇襲。潮崎のお株を奪う重いマシンガンチョップでダメージを与えると、パワーにものを言わせたフルネルソンやリバースフルネルソンで、潮崎のラリアットやチョップの原動力である肩を痛めつけていく。

 これに対し潮崎も中盤から征矢の右腕に攻撃を集中。公式戦最終日、しかもこの日は2試合目と満身創痍で体力も限界が近づく中、両者は意地と意地がぶつかり合う肉弾戦を展開した。

 後半、ふらふらになりながら潮崎とのチョップ合戦を強烈なダブルチョップ3連発で制し、ラリアット同士討ちでも打ち勝った征矢が、大「征矢」コールをバックに必殺のジャンピングDDTを決めようと勝負に出るが、潮崎はこれをスモールパッケージホールドで返すと、さらにスクールボーイ、逆さ押さえ込みと、丸め込み技3連発。

 これをなんとかカウント2で返し続けた征矢だったが、必死に立ち上がったところに豪腕ラリアットをモロに喰らい万事休す。潮崎豪が1日2試合の激闘を制して、Bブロックを勝ち上がり優勝決定戦に進出を決めた。

 惜しくも敗れた征矢だったが、公式戦全戦を通して『N-1 VICTORY 2023』MVP級の活躍ぶり。それは試合後、征矢に送られたこの日いちばんの大「征矢」コールが証明していた。

 そして最後に拳王がリングイン。もはや言葉はいらないとばかりに、あえてマイクは握らず潮崎と睨み合いを展開して、優勝決定戦への想いを目で交換した。

 はたして9.3エディオンアリーナ大阪で2023年の『N-1』を制するのは、無敗を誇ったGHC王者ジェイク・リーを破った拳王か、それとも中嶋とのAXIZ対決と征矢との激闘の2試合を勝ち抜いた“I AM NOAH”潮崎豪か。NOAHの真夏の頂点がついに決まる。

(C)プロレスリング・ノア

この記事の写真をみる(2枚)