2025年に開催予定の大阪・関西万博に関して、テーマ事業プロデューサー（担当テーマ「いのちを響き合わせる」）を務める慶応大学医学部教授でデータサイエンティストの宮田裕章氏が、ゲスト出演した2日の『NewsBAR橋下』で橋下徹氏に「もっと万博に参加して！」と訴えた。
資金集めに奔走しているという宮田氏は、「プロデューサーはお金を与えられて頑張るのかと思ったら、8割は自前で調達してこいと。企業に行って『こんなことやりますんで、ぜひ！』みたいな感じ。総額は言えないが、建築費で公表されているのが14億円くらいで、それも集めてきたお金だ」と説明。
大阪・関西万博誘致のそもそもの経緯について、橋下氏は「僕が言い出しっぺというか、松井（一郎）さんや堺屋太一さんなどと寿司を食べながら、お酒が入って盛り上がって（笑）。最初の頃は無視されていたけど、松井さんが安倍さんと菅さんに渾身のプレゼンをしたら、安倍さんが『菅ちゃん、このプロジェクト年明けから進めていこうよ！』と。そこから一気に動き始めた。その後、僕は政治家を辞めちゃって、（宮田さんが）一番しんどいところを」と明かす。
それに対し宮田氏は「過去の万博もみんな大変で、愛・地球博なんかはプロデューサー陣が総退陣している。今回、言い出しっぺの人が自分の万博にしようとするのは不可能ではないが、橋下さんや建築家の安藤忠雄さんが『彼らに任せる』とあたたかく貢献してくださっているのは、現場にとってはすごくやりやすい」と述べた。その上で、「そろそろ橋下さんの企画をやれれば私も楽しいなと（笑）」と投げかける。
橋下氏が「いろいろなところから話はいただいたが、僕がちょっとでも近づくと揉める（笑）。万博協会とか宮田さんとか民間の方が一応やってくれてはいるが、やはり何かしら政治・議会が介入してくる。そうなった瞬間、僕が言うことには“全部反対”となるから」と答えると、宮田氏は「民間でお金を集めた企画を作れば大丈夫ではないか」と提案した。
■1970年の大阪万博も最初は盛り上がっていなかった？
大阪万博をめぐっては、海外パビリオン建設の着工遅れなどが報じられているが、宮田氏は「テーマ事業のパビリオンは基本的に間に合う工程で進んでいて、その後の企業館もだいたい間に合う。話題になっているのは最後の第3陣、各国パビリオンの着手時期が少し遅れていて、しかも戦争の影響で建築の価格が上がっていること。今ひしめいているのは、自前で作る国とそうではない国がどれくらいのバランスになるかというところだ」と説明する。
橋下氏は「ドバイ万博の時もそうだが、すべて用意が整って開幕の日を迎えるというのはあまりない。ここは政治の部分で、岸田さんなのか吉村さんなのかわからないが、『万博は元々ルーズだから、開幕後も建設していていいんだ』くらいのことを言ってほしい」と指摘。
さらに、“簡素化”を提案し、「過去の大阪万博の時は高度成長だから、箱物でバンッとイメージを出さなければいけなかった。でも、今回は技術やAIが見どころ。箱の完成度を求めるとまた遅れたりするのでは」と懸念を示した。
宮田氏も「その大阪万博ですら最初は盛り上がっていなかった。統計データを見ると尻上がりだ」とした上で、「太陽の塔は今こそシンボルになっているが、当時は10％の人しか良いと言っていなかった。岡本（太郎）さんが1人で必死に説明しているが、周りに誰も近寄ってこないという映像も残っている。ただ、それは“万博なんてクソだ”“経済成長なんてクソ食らえだ”くらいのことを言っていたからで、“そういう祭典では？”となるのは当然（笑）。その後、経済成長が止まり、物の時代が終わり、どんどん現在に近づいていくにつれて、岡本さんの評価は上がっている。50年経って一番良いところだけ輝いて見えるが、当時もけっこうカオスだった。そういう部分も含めて、前向きにこの体験を共有していけたら」と語った。（ABEMA『NewsBAR橋下』より）
