大関・貴景勝(常盤山)が、前頭十五枚目・熱海富士(伊勢ヶ濱)との優勝決定戦の末、逆転で4場所ぶり4度目の優勝を飾った。貴景勝が左に変化し、熱海富士はそのままはたき込みで敗れる形となったが、ABEMAで解説を務めた元横綱・若乃花の花田虎上氏は言葉を失いつつ、「まさか大関が最後に引くとは思わなかった」「大関が受けてあげなかったんですね」と苦言を呈した。
ここまで3敗と単独首位を走っていた熱海富士は千秋楽、元大関の前頭二枚目・朝乃山(高砂)に寄り切りで敗れ、優勝決定戦に回った。星の差1つで追っていた貴景勝は、同じく優勝争いに加わっていた関脇・大栄翔(追手風)を送り出しで下し、4敗を死守。優勝の可能性を残していた前頭十一枚目・北青鵬、前頭七枚目・高安(田子ノ浦)は共に敗れ、熱海富士と貴景勝で優勝決定戦が行われた。
立ち合いでは呼吸が合わず、熱海富士が手をつき直す場面も。その後、立ち合いが成立すると、貴景勝は左に変化し、そのままはたき込みで優勝を飾った。決まった瞬間、同じく実況を務めた舩山陽司アナウンサーは「まさかの結末! どよめく館内」と伝えていた。
この決定戦を受け、取組前に「両力士には良い相撲を取ってもらいたい」と期待していた花田氏は「熱海富士が当たっていって、大関は受けてあげなかったんですね。何が何でも勝ちたかったんでしょうけど、最初から引いてますね。(熱海富士は)ついていけなかったけれど、まさか大関が最後に引くとは思わなかったから」と残念がった。
一方で、大関として何とか責任を果たさなければならない立場の貴景勝について「これで勝たなかったら辞めてからもずっと言われる。変化というか、どうであれ勝たないと言われるから(気持ちは)わかる」とコメント。その上で再び「受けてあげて欲しかった」と述べた。
それから花田氏は「最初から(貴景勝は変化を)考えていたので、左から熱海富士を引き落としなわけです。考えていなかった場合は当たってからの引き落とし。注文相撲だったので、難しいところですけど、そういう心理戦もあることはお伝えしたい」とも語っていた。
なお、かど番での優勝は平成28年秋場所の豪栄道以来で、全休明けの大関による制覇は15年春場所の千代大海以来2人目となる。
(ABEMA/大相撲チャンネル)