9月24日、愛知・名古屋国際会議場でプロレスリング・ノア『GRAND SHIP 2023 in NAGOYA』が行われた。メインイベントは、王者ジェイク・リーが「N-1 VICTORY 2023」覇者の潮崎豪を迎えうつGHCヘビー級王座4度目の防衛戦。シングル初対決となるGHC王者とN-1王者によるNOAH頂上決戦は、両者が持てる技の“引き出し”を惜しげもなく開けていく総力戦となった。

 先手を取ったのは王者ジェイク・リーだ。戦前の予告通り、潮崎の剛腕ラリアットの源である右腕を集中的に攻撃。これに対し潮崎が、ジェイクが序盤から早くも切り札FBS(串刺しフロントハイキック)狙いで突っ込んできたところ、ラリアットでキックを叩き落とす捨て身の反撃に出る。

 ここから潮崎は逆にジェイクの右ヒザに攻撃を集中。場外でジェイクを抱え上げると、そのままヒザを鉄柱に叩きつけるなど、至宝奪回に向けてなりふり構わぬ姿勢を見せた。そして腕の痛みに耐えながら得意のマシンガンチョップでペースを握ると、早くもゴーフラッシャーを決める。
 
 しかしトップロープに登ったところ、ジェイクが旋回式チョークスラム。いや、ここはNOAHのリング。田上明ばりの大車輪喉輪落としと呼ぶべきか。さらにハイアングルのチョークスラムから、狙いを定めてFBSを決めるべく突進するが、潮崎が逆にカウンターの豪腕ラリアットを決め、両者ダブルノックダウン。

 先に立ち上がったのは、勝利への執念を見せる潮崎だ。NOAH創始者・三沢光晴を彷彿とさせるローリングエルボーからのエメラルドフロウジョン。さらに「いくぞー!」の掛け声から師匠・小橋建太ばりに拳を握ってのムーンサルトプレス。N-1決勝戦で拳王を下したNOAHレジェンドコンボを完璧に決めるが、ジェイク・リーはこれをカウント2で返す。

 逆に、試合を決めるべくサポーターを外して豪腕ラリアットで突っ込んできた潮崎の右腕を蹴り上げると、ジャイアントキリングでボディをえぐり、ハイキックから落差の大きいバックドロップでマットに叩きつけると、秘密兵器ともいえるターンバックルへの投げっぱなしパワーボム。そして最後はFBSで潮崎のアゴを撃ち抜きカウント3。

 ジェイク・リーは、三沢さん小橋さんの得意技を含めた潮崎の大技をすべて受け切った上での完璧な勝利でGHCヘビー級王座4度目の防衛に成功した。

 清宮海斗、中嶋勝彦、丸藤正道、杉浦貴に続き、N-1覇者の“I AM NOAH”潮崎豪をも下し、NOAHの象徴たちを総なめした形となったジェイク・リーは、試合後、マイクを握り「あらためて、N-1覇者を倒したぞー!」と叫ぶと、「ただ、そのN-1の中に唯一、俺に黒星をつけた男がいる」と、放送席でゲスト解説を務めていた拳王をリングに呼び込み、「私はあなたにチャンピオンでありながら挑戦したい気持ちを持っている。唯一、俺から3カウントを奪った男だから。今回はベルトを賭けて闘っていただきたい。いかがでしょうか?」と、逆提案。

 これに対し拳王は「その挑戦表明カッコいいとでも思ってんのか? 俺にとってみたら(挑戦することは)当然だ!」と、もちろん受諾。その上で、「おい、ジェイク・リー! NOAHの舵を握ってどこに連れていくつもりだ? NOAHの舵を握るのは、NOAHをこよなく愛するこの俺、拳王だ。俺がNOAHをプロレス界の頂点まで連れていってやるからな!」と宣言。拳王は天を指差し、ジェイクはベルトを掲げ上げながら睨み合った。

 そして大会終了後、10.28福岡国際センター大会でのジェイク・リーvs拳王のGHCヘビー級タイトルマッチ開催が正式に決定。はたしてジェイク・リーがNOAHの真の舵取りとなるのか。それともNOAHをプロレス界の頂点に導くべく、拳王が舵取りの座を奪い取るのか。10.28福岡でのGHC戦は、方舟の未来がかかった一戦となりそうだ。

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