東京都市大学などの研究グループが、化石爬虫類の思春期を特定した。大昔の爬虫類の思春期が特定されたのは世界初。『ABEMAヒルズ』は研究に関わった准教授に話を聞いた。
人が誕生するはるか昔。生き物は海で誕生し、進化を繰り返してきた。そんな大昔の生き物について、東京都市大学・中島保寿准教授らの研究チームがある研究結果を発表した。
それが「化石爬虫類の思春期」の特定。中島准教授は次のように話す。
「約2憶4000万年くらい前のケイチョウサウルスという小型の爬虫類の化石が知られているが、オスとメスの違いが出てくる時期を『思春期』と特定し、この時期に繁殖できるようになることを明らかにした」
これまで中国南部で多くの化石が見つかっているという。
「オスとメスの違いがあるということが分かっただけでも珍しいことだが、化石の爬虫類で思春期に当たる時期を特定したのはこれが初めてのこと」
中島准教授らの研究グループは、ケイチョウサウルスの腕の骨の化石を中国で分析。骨の断面には成長に沿って年輪が刻まれていて、生後1~2年目にかけて性別による体の違いがあらわれることを発見した。
「ケイチョウサウルスの場合は、オスとメスで腕の骨にかなりはっきりした違いがあり、オスの方が大きく、かなり角張った骨を持っている。腕の使い方がオスとメスで違ったのだろう。腕の骨の違いが出るというのはおそらく交尾に関連したもの」
成体で体長30cmほどの小さな爬虫類「ケイチョウサウルス」。今回「思春期」が特定されたことで、大型生物に対抗する「生存戦略」が明らかになったと中島准教授は推測する。
「たった一年で生殖できる体になり早く次の世代を残す。そうすると、ある程度食べられても次の世代は生き残る。繁殖のサイクルを短くすることで、なるべく多くの子どもを産もうという戦略をしていたことが分かった」
今回の研究成果により、進化生物学分野の発展にも貢献することが期待されているという。
「今回、恐竜以外の海の世界をのぞいたことが重要だった。中生代という時代は陸の恐竜だけでなく、海の生態系が変わった時代でもある。日本からも同じような化石が見つかってきている。日本で見つかる爬虫類はどうなんだろうという研究に発展していくと、より我々にとっても身近な研究になっていくと考えている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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