放送作家として活躍する百田尚樹氏が立ち上げ、「LGBT法は天下の悪法である」「移民政策の現状を見直すべき」といった政策の軸を掲げる“百田新党”改め日本保守党が話題だ。
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9月1日にX(旧Twitter)のアカウントを開設すると、僅か15日で自民党を超える国内政党トップの27.5万フォロワーに。今月末から党員募集も始めるとのことだ。26日の『ABEMA Prime』では新党を立ち上げた百田氏とジャーナリストの有本香氏をゲストに招いた。彼らが目指す“真の保守”とは? スタジオでは激論が繰り広げられた。
真の保守は「先人の知恵を使う」「慎重に物事を変える」
日本保守党が考える保守について、百田氏は「日本は世界で一番古い国だと思っている。世界の国にはない独特の伝統や風習、考え方がある。もちろんダメなものは直していかなければいけないが、1000年以上ずっと残してきたものがある。日本の美点、民族として世界に誇らしいと思っているものは大切にしていくべき」と主張。また、「多くの国民が“これは日本の美点だ”と思っていたら残すべきだが、いま一部の政治家が国民の意思を無視して暴走している。これを止めたい」との考えを示した。
有本氏は「保守と聞くと”古いものをただ守るだけ”と勘違いされることもあるが、そうではない。保守とは、自分たちの知恵で物事を全て解決できると思わないことだ。すると自分の親やもっと古い世代が守ってきた先人の知恵に行き着く。ダメなものを直すとしても、急激な変化が起きると社会からこぼれ落ちる人が出てくる。それを避けるために昔からの知恵を使う、あるいは現状をよく見て、慎重に物事を変えていく。これが保守だと思う」と主張した。
日本保守党は「移民反対ではない」
また、移民政策について問われた百田氏は「私たちは移民反対派ではない。移民政策は賛成か反対かで論じられるものではない。人口1億2000万弱の日本において、移民の数はどのくらいだとバランスが良いか。どういった人に来てもらうか、が重要だ。文化や言語、風習もみな違う人がどっと入ってきた場合、日本人と相容れない考え方もある。今の自民党は、彼らと共生するシステム・制度を一切考えていない。日本文化にどう接し、理解してもらえるか。日本的な生活にどう馴染んでもらうか。そういうものがない」と問題点を指摘。
さらに「埼玉の川口でクルド人問題がある。ビザなしで入国でき、観光旅行で90日間滞在できる。そして91日目に“私たちは難民だ”と言われたら簡単に追い返せない。その結果、不法滞在がものすごい数になり、問題になっている。今の日本にとって移民の数はどれくらいが適正か。学者などを入れた議論が全くされていない。将来的に日本保守党は“こういうシステムや制度が必要だろう”ということを打ち出していく」と言及した。
有本氏は「10年前、テレビの企画で関東の小学校を取材したときに驚いたことがあった。クラスの半分の母親が外国人だった。彼らの子どもは相対的に見れば日本語力が低いので授業についていけない。それで教師が自発的に日本語の補習をやっていると聞いた。つい最近、現物を見せてもらった例では、関東の公立小中学校で、“インフルエンザが流行っている”“こういう行事がある”という保護者向けの通信を4カ国語で出していた。学校サイドの苦労は計り知れない。それなのに、今度は特定技能2号を拡大して、更なる移民を受け入れるとしている」と指摘。
続けて「今、岸田政権は家族の帯同を許すことを検討している。ご夫婦で来日すると、子どもがさらに生まれる可能性もある。どう対応すればいいのか。現場の声を全く聞いていない。欧州で起きていることを見れば何が起きるかわかるはずだ。具体的な仕組みを作らないまま、単に人手不足だから外国人を入れようというのはいくらなんでもひどい」と述べた。
なぜ『LGBT法は天下の悪法』?
日本保守党は、LGBT理解増進法案が成立したことも、結党に至った理由として挙げている。有本氏は「LGBT法は自民党が議員立法の形で提出した。議員立法を国会に出すのは大変で、ほかの政党とも、ある程度良いと合意した上で出すのが一般的。ところが自民党は党内で反対が多かったのに議論を打ち切って強引に出した。さらに当初は、“実際には審議しない。G7に向けてのポーズだ”と言っていたが、僅か1時間半の審議で法案を通した。非常に乱暴で民主主義の破壊だ。日本の文化、伝統を無視して壊していく。もしかすると一穴を開ける法律かもしれない」と説明した。
これに対して、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏が「LGBTの多様性を認めることが日本の文化を壊すというのはどういうロジックなのか」と質問すると、有本氏は「この法律は多様性を認める趣旨と全然違う。例えばキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の国では、かつて同性愛は禁忌事項で、牢屋にぶち込まれる世界だった。ところが日本ではそのようなことはなかった。江戸時代にも男性が男性と遊びに行くといった場所があり、ある意味で非常に寛容的だった」と歴史的な経緯を踏まえて反論。
佐々木氏は「伝統的にはその通りだが、欧米文化が流入した昭和以降、キリスト教的な文化に染まった結果、LGBTに対する差別が広まる逆流現象が起きた。バラエティ番組で芸人がゲイを揶揄した例も実際にあったのだから、歯止めをかけるために罰則のない理解増進法を作るのは間違っていない。この法律は、自民党内でかなり反対があったので、“差別は許されない”という文言を“不当な差別があってはならない”に変えたりしている。これが一穴を開けるというのは言い過ぎではないか」と述べた。
これに百田氏は「一旦、罰則ない法律を作って、次に罰則を作る。左翼がよくやる手法だ。そもそも、この法律ができる以前に、ゲイやレズ、バイセクシュアルを差別する日本だったのだろうか。差別がダメだというのは、わざわざ法律に書かなくても当たり前だ。例えばテレビを見ていても、ゲイの方が普通に出演している」と主張した。
有本氏も「差別の定義は何か。誰かの属性を捉えて嘲笑するのは良くないが、テレビではずっとやってきた。差別とは社会や制度が特定の人の権利を奪ってしまうことだ。これは決してあってはならない。だが、日本にはそういった伝統はない」と述べた。
制度アナリストの宇佐美典也氏も「この法律には大反対。この法律が何を目指しているのか現場で誰も理解していない。“カムアウトしなくても生きやすい社会”と言うが、具体的に何をすればいいかわかっていない、何となく権威がある“有識者”たちが、教育や役所の現場で“差別はこうだ”という雰囲気作っていく現状になりつつある」と指摘した。
(『ABEMA Prime』より)
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