【映像】内閣改造に「これで支持率上がると思うなよ」
初入閣は11人、女性閣僚5位(最多タイ)ながら、「目玉がなくて、地味すぎる」とも言われている。そんな内閣改造だが、政治ジャーナリストの青山和弘氏は、「国民不在だが、完成度という点では80点」と高得点を付ける。
「(岸田文雄総理の)政権基盤を安定させるという目的では、さすが人事をやりたかった総理だなと。プロっぽい人事だが、これで支持率上がると思うなよ、といった人事でもある」(青山氏)
青山氏の解説によると、岸田政権は、岸田総理、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長の「三頭政治」で動いているが、岸田派は所属議員46人で党内基盤が弱い。最大派閥・安倍派(99人)は、安倍晋三元総理の亡き後、集団指導体制となっているため、強い影響力を持つ森喜朗元総理の意向を聞けばよいとされる。麻生太郎副総裁の意志をくめば、第2派閥の麻生派(55人)も押さえられる。
茂木派(54人)の茂木敏充幹事長は、ポスト岸田への野心を見せている。しかし岸田総理は今回、茂木派の小渕優子氏を自民党の党4役である選挙対策委員長に登用した。もともと茂木派は「小渕(恵三元総理)派」であり、その娘である小渕氏を引き上げることで、茂木氏の出馬をけん制できる。また、小渕氏の厚遇を求めていた森氏を立てれば、安倍派も抑えられる。
茂木氏が総裁選出馬となれば、「三頭政治」が崩れ、権力構造が変わる可能性があるため、麻生氏は茂木氏をけん制する立場だ。麻生氏を抑えれば、麻生派の河野太郎デジタル大臣も抑えられる。
小渕氏が党4役へ入ったことで、岸田総理の盟友でもある遠藤利明氏(谷垣派)は党総務会長を退いた。しかし、同じく谷垣派・山形選出で、遠藤氏と共通点のある加藤鮎子氏が、子ども政策担当大臣として初入閣した。
「玉突きをいろいろ考えて、バッチリ第1派閥(安倍派)、第2派閥(麻生派)、第3派閥(茂木派)を抑える。第4派閥の岸田派も、ナンバー2の林芳正さんが外務大臣で政府に入っているから、派閥を抑える人がいなくなった。『派閥に戻ってくれ』と外務大臣から外して、(同じく岸田派の上川陽子氏を後任にすることで)女性閣僚も1人増える」
では、なぜ100点ではないのかと問われ、青山氏は「第5派閥以降は、ほぼ干し上げてしまった」と語る。二階俊博元幹事長がトップの二階派(41人)や、菅義偉前総理らの無派閥(36人)の不満は高まっているようだ。とくに岸田氏と菅氏の関係は「最悪」だという。
「菅さんは岸田さんを全く評価していない。岸田さんはそれをわかっている。たまに会って意見は聞くが、ご飯を食べることはない。議員会館でちょっと話すだけで、心は許し合ってはいない」
今回の内閣改造が、衆議院解散につながるのか。青山氏は「なぜ自民党総裁選で勝てる人事をしたのかというと、『解散できそうもないな』という雰囲気があったから」と分析する。岸田総理は今年6月にも解散を見送っている。
「解散して選挙で勝って、『俺は民意を得た総理だ』と言って自民党総裁選を乗り切るのが基本戦略だったが、『この支持率では解散できないかもしれない。じゃあ総裁選を解散なしで乗り切る体制を組もう』と、今回の人事をした」
そのため、青山氏は「解散の可能性は下がっている」とみるが、菅氏や二階氏の動向や、支持率によっては、かつての菅氏のように「引きずり下ろされる」可能性があるとも指摘する。考えられるタイミングはいくつかあるが、10月中旬に召集されるとみられるの臨時国会冒頭では「経済対策くらい打ち出さないと支持率が上がらない」という見方を示した。
「(11月に提出・成立する)補正予算で国民にアメをばらまいて、その後に解散という可能性がある。ただ岸田政権は支持率が悪く、改造でも上がらなかった。勝てない選挙をやってもしょうがないので、ここを見送ると年明けになる」
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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