嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
【映像】“夫が憎くて死後離婚”の実際のエピソード
この記事の写真をみる(8枚)

 数年前に書籍化もされ、大きな話題になったサイト「だんなデスノート」。今も1日200件の“デス投稿”があるなど、夫の死を待ち望む妻たちの恨み節は絶えないそうだが、夫が亡くなった後にあることに踏み切る女性が増加している。

【映像】“夫が憎くて死後離婚”の実際のエピソード

 それが「死後離婚」。正式には「姻族関係終了届」を役所に提出することで、配偶者の死後、義理の家族との関係を絶つことができる制度だ。数年前に夫が亡くなり今年7月に死後離婚したかずママさんは「義理の家族との関係性が少し上手くいっていない部分があった。無視されるとか、夫が亡くなってからも侮辱というのか、自分の存在を否定されるような言葉をかけられたことが多々ある。動悸がひどくなったりと身体に症状が出始めて、病院を受診したら『そこから離れないとあなたが倒れてしまうかもしれませんよ』と言われて、ハッとした」と話す。

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 死後離婚を決意する理由の多くが姑との関係だ。「夫を生んでくれた両親ではあるので、感謝している部分ももちろんある。しかし、残された私が生きていくのに苦しくなってしまうので、『いや、これで間違っていない。出そう』と思った。スッキリしたというのもおかしいが、切り替わるような気持ちはあった。嫁の立場として、お義父さんお義母さんの意見を尊重しなければと、すごく苦しんでいる方が多いのかなという印象がある」。

 姻族関係終了届の件数は、10年前に比べ2倍近く増加している。離婚問題に詳しいガーディアン法律事務所の園田由佳弁護士は「昔は家と家の結びつきが結婚において重視されていたが、“私は義理の両親と結婚したわけではない”“夫と妻の結びつきが結婚なんだ”という考えが広く浸透していった結果なのではないか」との見方を示す。

■夫の葬儀翌朝、姑からの“電話ラッシュ”が決定打に

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 死後離婚の当事者で、個人サロンを切り盛りする福島ゆきこ氏。「姑は、妻が仕事をするのをよく思っていなかった。『なんで仕事辞めないの?』『うちの息子の給料だけでは生活できないってことのなの?』みたいに言われて、もう駄目だと思った」と話す。

 決定打になったのは、お墓の問題。「葬儀が終わった翌日の朝、早朝から義母の電話攻撃が始まった。亡くなる前の2週間は集中治療室にいて、お葬式が終わってヘトヘトで眠りについたら、次の日の朝に『お墓を作りましょう』と。『そうですね。でもまだ考えられない』と言うと、また次の日の朝に電話がかかってきた。もう駄目だと思って、家の電話も携帯も着信拒否をした」。

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 「嫁は手下」という古い考えに20年耐えてきた福島氏。過去の義母からの衝撃発言として、「結婚の挨拶で夫の実家に行った時、お義母さまの誕生日が近かったので、上品な感じのブラウスをお渡ししたら、すごくにこやかに『ありがとう。こんなのもらっても雑巾にしかならないわ』と言われた」と明かす。義父から「この場所にお墓を作った」という手紙が届いた後、返事には20年分の恨みを書いたそうだ。

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 姻族関係終了届を提出した時の心境は「すごくすっきりした」。夫への後ろめたさや申し訳なさについては、「それはない。福島という夫の苗字を名乗っているので、関係性は何も変わらない」とした上で、「お嫁さんの立場で悩んでいる方がいたら、いろいろな便利な制度があるので、使ってどんどん自由になったほうが良い」との考えを述べた。

■「死後離婚」にデメリットは?

 姻族関係終了届の手続きについて、園田氏は「名前・本籍・配偶者の名前などをA4の1枚ペラに書くぐらいの、本当に簡単なものだ。理由は一応『その他』という欄があるが、書きたければ書くという話だと思う」と説明。

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 「死後離婚」という言葉は、「俗語だ。亡くなった配偶者との離婚だと思われがちだが、そこは全く関係ない。法律家としては普段使わない」とした上で、「姻族関係終了届を出したことで終了する関係は、姻族と呼ばれる方、配偶者と結婚することでできる義理の両親や義理の家族だ。戸籍はどうなるかというと、妻の欄に“姻族関係終了届を出した”という記載が増えるだけで、関係自体は全く変わらない。なぜこの制度があるかというと、扶養義務は姻族にも発生し、福島さんのケースだと義理のご両親に対しても一定の義務が法律上発生してしまう。関係性が悪いのに、何かあった時に扶養することになる」とする。

 では、デメリットなどはあるのか。「実際に姻族関係終了届を出されたことを知った姑さん側から相談を受けたことがある。自分の息子が早くに亡くなって、息子の財産をお嫁さんが相続した。元々馬が合わなかったのでやり取りはなくなったが、夫が亡くなって代襲相続が発生したため、話をしなければいけないタイミングが出てきたと。戸籍を見たらお嫁さんが姻族関係終了届を出していたという記載があり、今までのいろんなものが一気に爆発した。“孫に1円もあげたくない”“孫すら憎い”という感じで、悪感情がエスカレートしてしまった」という。

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 死後離婚を亡くなる前に決断する人もいれば、亡くなるまで待っているケースもあるそうだ。「夫のことは嫌いだが、年齢も年齢なので離婚した時にもらえる金額を具体的に見るとちょっと厳しい。年齢的には夫のほうが先に死ぬから、遺族年金がもらえるように粛々とその時を待つ」。

 妻が亡くなった後に夫が出すこともできる。「夫が妻の両親の面倒を見ているお家もある。お義母さんだけが残ってしまうとなおのこと、一緒に住んだりすることもある。そこで『妻が亡くなったのでお義母さんは出て行ってください』とは言えない一方で、自分も高齢化してきた時にどこまで面倒を見られるかという現実問題もある」とした。

嫁姑バトルの最終地点?旦那死んでもまだ憎い? 増加する“死後離婚” 「20年の恨みを晴らしてすっきりした」当事者に聞く
拡大する

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「同居している80代のおばあちゃんを家から追い出して、その方が亡くなった時に、“姻族関係終了届を出しているから関係ない”というのは、さすがに保護違反にならないのか?」と質問。

 園田氏は「それは通らないと思っている。私が関わったケースで、義理のご両親の面倒を見なければいけないけど、自分の両親の世話もあり、しんどくなってきたと。なので姻族関係終了届は出すことにしたが、他に扶養できる人がいるかという手当てはした。親族の人を洗い出して家族会議をし、“現実問題として無理だから引き取りましょう”“お願いします”という段取りまでやった」と答えた。(『ABEMA Prime』より)

この記事の画像一覧
親の離婚で生き別れる兄弟姉妹 あえて「捜さない」選択も? 当事者に聞く
親の離婚で生き別れる兄弟姉妹 あえて「捜さない」選択も? 当事者に聞く
離婚=✕ではない?なぜ繰り返す? “バツ9”の当事者らに直撃
離婚=✕ではない?なぜ繰り返す? “バツ9”の当事者らに直撃
【映像】右傾化した母に悩む当事者&元ネトウヨ政治学者と議論 高齢者の思想なぜ偏る?

■Pick Up
「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側

ひろゆき出演番組の配信情報はこちら
ひろゆき出演番組の配信情報はこちら
この記事の写真をみる(8枚)