徹底した右の攻撃に対して、相手が意識、ガードした次の瞬間、左のフックを“ズドン”。「え、そっち！？」の衝撃KOに戦慄が走った。
10月7日タイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Fight Night 15」。フー・ヨン（中国）とエコ・ロニ・サプトラ（インドネシア）の対戦は開始わずか63秒で決着。"ストライカー対グラップラー”真逆の対決は、打撃巧者のフーが相手のレスリング力を封印。「組み”ガン無視“でひたすら殴る」戦術がピタリとハマる快勝劇だった。
強打が売りのフー、ONEでは若松佑弥に敗れた以外は8戦7勝と好成績を収めている。一方のサプトラは、7連勝から前回トップランカーであるダニー・キンガット超えはならず今回が再起戦。グラップリングの極め力がある。
試合開始早々、飛びヒザを見せるフー。対するサプトラはミドルキックから組みに持ち込むがあっさり切られ、打撃意識の高いフーがプレッシャーをかける。
開始50秒、サプトラもオーバーフックの右を放つが、フーがミドルと左フックのコンビネーションを入れて効かせる。コーナーによろよろと下がるサプトラに対し、フーはここぞとばかりにパンチの連打を放つ。
ここからフーの頭脳的な攻撃がはじまる。右・右・右としつこく右の連打を見せるフーに対し、必死でサプトラがガードを固めたタイミングで、フーが”ドンピシャ“の左フック。ガラ空きの顔面にモロ被弾した一撃にサプトラはダウン。追い打ちのパウンド一発にレフェリーが割って入り試合を止めた。
グラップラーのサプトラに全く仕事をさせず打撃で強引に秒殺したフーに視聴者も「相手に全くレスリングをさせなかったな」「タックルを完全に無視していた」と振り返る。
ゲスト解説・北岡悟は「サプトラが右差しを取ったの気にせず、フー・ヨンはレスリングが無いかのように距離感を詰めた」と相手の得意分野をガン無視で距離を潰した鈍感力を評価。
一見、大味な振り回しスタイルに見せかけて、ボディや逆サイドのパンチをおとりに得意の左フックへとつなげたフーの上手さが際立つKO勝利だった。
