戦う栃木の“最強米農家”のおよそ1年８カ月ぶりの復帰戦は、グラップリングで制圧から腕十字と完璧なフィニッシュ。その見事な一本もさることながら、勝利直後に見せたバク宙連発（これがあわやレフェリーに直撃）、ブレイクダンスの歓喜の舞に場内大歓声に包まれた。また勝利者マイクでは、堪能な語学力を披露。その多才ぶりに「完璧超人」の称賛ワードが並んだ。
10月7日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Fight Night 15」で、手塚裕之とジン・テホ（韓国）が対戦。試合はテイクダウンから終始制圧していた手塚が1ラウンド終了間際、腕十字で一本勝ちを収めた。
おいしい米を作る栃木の農家兼ファイターの二刀流で知られる手塚。9日前の緊急オファーを受け、右膝靭帯断絶のケガからおよそ1年8カ月ぶりに復帰戦を迎えた。条件としては不利な内容だが、遠ざかっていた試合への“渇望”から快諾した格好。対戦相手のジンは、桜庭和志をリスペクトする韓国人ファイター、長いリーチと極め力のある選手だ。
序盤は距離を置いた打撃戦。しかしラウンド中盤、手塚がジンの蹴り足をキャッチしテイクダウンに持ち込むと、終始手塚の時間へ。ジンも下から狙うが手塚が冷静にコントロール。トップからじっくり、米で培った筋力で制圧しながらサイドに移行すると、残り20秒で肩固めから腕十字。一気に相手の腕を伸ばして見事な一本を奪った。
膠着状態から一転して鮮やかな一本勝ちを見せた手塚。フィニッシュ後には豪快にバク宙を連発。さらにブレイクダンスまで披露するなど、野獣ぶりを爆発させた。
勝利者インタビューで手塚は「この瞬間を待ち浴びていた、もっと試合をやらせてほしい、チャンスを欲しい」「日本で秋山成勲とやりたい」と猛アピール。対戦相手については「彼はオールラウンダーでリーチも長かったけれどグラップリングに自信があったからね、イージーだったよ」と堪能な英語で対応。
戦えて、喋れて、うまい米も作れる多才な男・手塚に「多才で凄い」「冗談もいえるしレベルが高い」「教員免許を持っていて、農家で英語もペラペラ、完璧超人だ」と称賛コメントが並んだ。
