「35年ローン」が一般的な住宅ローンに、「50年ローン」が登場した。
人生100年時代と言われるが、完済年齢の80歳まで、30歳からローンを払うとなると、「賃貸でいいのでは」「それでも持ち家が欲しい」などと意見もわかれるところだ。
街でアンケートをとってみると、賃貸派の30代男性は「29歳までに家買えるところまで持っていけるか」、持ち家派の40代男性からは「返せるような気がしないので、自分は使わない。途中でマンション売っちゃうとかであれば、ありなのかな」と様々な意見が出た。
不動産価格も高騰するなか、返済や将来が不安になる人も多いが、経済評論家の佐藤治彦氏は「物件を持っている人も、これから買おうとしている人も、今こそ動き出さなければ大変なことになる」と断言する。
住宅ローン金利の変遷をもとに、佐藤氏が理由を説明する。昭和から平成前半までは長期固定金利がメインだったが、平成後半以降はほぼ変動金利で組まれている。変動金利は「変動」と名がついているが、アベノミクスにともなう異次元金融緩和のもと、マイナス金利になっていることから、ほとんど金利が上がらない時代が続いてきたからだ。しかし、もう一方の固定金利は、長期金利に連動して、近年ジワジワと上昇している。
では、マイナス金利政策は、今後も続くのか。日本銀行の総裁は今春、アベノミクスを先導した黒田東彦氏から、植田和男氏へ交代した。植田氏は、持続的な賃金上昇が確認できるまでは、金利を維持する方針を示している。佐藤氏はその時期を「来年の春闘あたり」だと予測する。今年に続いて賃金上昇となれば、「持続的」と判断するのではとの見立てだ。
海外に目を向けると、アメリカの住宅ローン金利は、ここ1年強で倍近くまで高騰している。佐藤氏は「日本はこんなに上がるとは思わない」としつつ、欧米ではローン返済に苦しむ人も多いと紹介し、日本では「誰も変動金利上昇の恐怖を知らない」と警鐘を鳴らす。
そこで佐藤氏は、2つの対処策を示す。まずは「変動金利から超長期固定へ借り換える」。35年に加えて、最長50年の固定金利ローンが登場したことで、選択肢の幅は広がっている。もうひとつの対処策が「持ち家から賃貸へ逃げる。ただし高く売れるなら」。金利上昇によって返済が難しくなる可能性があるならば、売却も視野に入れるとの考え方だ。
気になるのは、どちらの対処策が適しているかだが、佐藤氏は「自分で決めない。マーケットに決めてもらう」との立場だ。たとえば、5000万円で買った持ち家を売りに出したとき、「7000万円で売れれば、手元に2000万円を残して賃貸へ」「5000万円でしか売れないなら、売らずに超長期へ借り換え」と、柔軟に対応することが必要だと説いた。
そのうえで佐藤氏は「まだ誰も『住宅ローンの金利が上がりそうだ』『心配だ』と言ってません。そして、何が起こっているか。不動産価格がどーんと上がっても、まだそんなに売りに出していない。今なら高く売れるチャンスじゃないか」そして「借り換えるにしても、いまは固定長期も非常に低いところにある」と改めて状況を説明。今の超低金利でローンを組んでいる人に向け、「将来のために今すぐ、何がいいのかちょっと考えてみてください」と訴えた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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