それまでのインローから、わずかに軌道を変えて振り抜いた予測不可能な左ハイ。まともに被弾した首が衝撃で45度ぐにゃりと曲がって崩れ落ちる完全失神の衝撃KO。あまりのインパクトに放送席も「スゲエ、ヤバい、エグい。マジやばい!」と連呼。「日本刀のような切れ味だ」と感嘆の声も漏れた。
10月20日タイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 37 」。エリアス・カセム(アルジェリア)とチャイ・ソー・ソー・トイパドリュー(タイ)の対戦は、2ラウンドにカセムが左ハイを振り抜き一撃KO。勝利後、35万バーツ(約144万円)のファイトボーナス支給に「うん、うん当然だろ」とドヤ顔。物怖じしない17歳が衝撃デビューを飾った。
初参戦のカセムと、前回デビュー戦でKOデビューのチャイの対戦。勢いのある両者は序盤からバチバチに打ち合う見ごたえある攻防を見せた。
共に「打ってこい」「効かないぞ」とアイコンタクトを見せ、負けん気の強い両者。足を止めて殴り合うスタイルに視聴者からも「何という戦い方だ」「(カセムは)17歳でこの強さはヤバいな…」と新人の気の強さに注目が集まる。
2ラウンドも互いに蹴りやパンチと手数は多い。徐々にエンジンがかかったチャイの右や左ミドル、パンチを受けたカセムは手を広げ「効いてねえぞ」と強気のアピール。それにチャイも反応し"だったら"と右を当てて相手の脳を揺らすと、カセムもフルスイングで対抗。一歩も譲らない攻防で劇的な幕切れは突如訪れた。
カセムの左ハイがチャイの側頭部を捉える。"グシャっ"という音が響いた一撃を振り抜かれたチャイの首はぐにゃりと45度に曲がり、そのまま真っすぐマットに"足ピン"のまま失神。レフェリーが即、試合を止めた。
ABEMAのゲスト解説である雅駿介は「わあスゲエ、ヤバい、エグい。マジやばい!」と語彙を失う三段活用。さらに「多分わかってないんじゃないですかね」と漏らすと実況の齋藤寿幸アナウンサーも「見えて無かった。スパーンと行きましたね。日本刀のような切れ味だ」と声を上げた。
落ち着きを取り戻した雅は「ずっとインローを蹴っていて、ヒザから下だけが違うだけで、それまでのフォームが一緒なので…めっちゃいいハイキックでしたね」と改めて称賛した。
しかし当事者の選手もレフェリーも全く予想できなかったノーモーションの左ハイ。「めちゃくちゃ期待できる」と雅が述べるなど、恐るべし17歳がONEデビューを飾った。