20日、岸田総理が自民党の萩生田政調会長に所得減税を含めた税収増加分の還元策を検討するように指示を出すという、減税について大きな動きがあった。具体的には所得税から一定の額を差し引く定額減税と、低所得者への給付を組み合わせる案などが検討されているという。21日のABEMA『NewsBAR橋下』に出演した慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏は「しょうもない。ムカついている」と一刀両断した。
岸氏は経済政策について「今、物価が上がっている。景気が悪い。賃上げが追いついていないから生活が苦しい人が多い。普通に考えたらまず企業にやるより、国民相手にやらないといけない。そういうものを最初に出してこなかったのが1つ目。2つ目は、総理官邸だ。岸田さんが“増税メガネ”という批判を気にして減税を匂わせた。それを打ち出した後、与党の幹部が“所得減税を”とか“ドカンと減税を”と好き勝手に言って、国民の期待値を上げてしまった。でも岸田さんは動かず、支持率が下がってしまったのをまずいと思って、個人向けの減税を言い出した。要はプロセスが下手すぎる。政策をやる場合、中身は当然大事だが、演出も大事だ。与党の幹部が好き勝手言わないように抑えるのが総理官邸の役目なのに、そういうことをやってこなかった」と説明。
橋下氏は「景気が悪いかどうかはいろんな判断があると思うが、日本全体の景気を良くするよりも、物価高に賃上げが追いついていない人たち（を助けるべき）」と話し、「こういうときのためにお金を迅速に送るための仕組みをマイナンバー制度は作れる」と主張した。
岸氏は「減税は定額型になるから、ワンショットのお金を配ると思うが、それを目に見える形にするために、年末までにマイナンバーカードに入ってもらって、“銀行口座に紐づけると必ず届けますよ”と、やったほうがいいと思う」と賛同。
岸田総理はお金を投入して物価高で苦しんでいる人に、という発想はないのか。岸氏は「多分あるが、彼の中で、全体の中でどういう位置づけか分からない。残念ながら長期的には、増税か社会保険料の引き上げかはともかく、大幅な負担を増やすということはやらないといけない。その前提として社会保障制度はしっかり見直す必要がある。大きな全体像が全然見えないまま、支持率が低いために減税すると言ったり、目先のことばかりやっているようでは、本当に日本の将来は大丈夫か？と心配になる」と述べた。
橋下氏は「大学生のときは、国会議員はそれなりの人が集まっているのかなと思ったが、この歳になると“こりゃだめだ”と思うことが多すぎる。普通、減税って考えたら、法律改正は来年の4月か6月になるが、6月って（遅くて）なんのこっちゃだ。減税で一律減税したら所得が高い人の減税になって、税金を払っていない所得が低い人には恩恵はない」と話した。（ABEMA『NewsBAR橋下』より）
