日本女子大学附属中学校は9月、情報教育を強化するための協定を締結した。その背景にはIT分野のジェンダーギャップ解消があるという。
IT化が進んでいる現代、私たちの身の回りの多くのものにコンピューターが使われ生活を便利で豊かなものにしている。ITにより社会の在り方が大きく変わるなかで、文部科学省は2020年度から小学校での「プログラミング教育」を必修化。「将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力」いわゆる“プログラミング的思考”を育成することなどを狙いとしている。
しかしその一方、IT分野のジェンダーギャップが存在していて「将来プログラミング関連の仕事に就くと思いますか」との問いに、小学校~高校生までのいずれの女子も「そう思わない」の割合が男子よりも高い結果となった。
そんなIT分野のジェンダーギャップを解消しようと9月、情報教育の発展を目指すNPO法人「みんなのコード」と日本女子大学付属中学校が連携協定を締結。生徒らの情報活用能力が高められるよう、各学年の年間指導計画や指導資料を作るなど、カリキュラムを開発していくという。
「本校の技術家庭科は、衣服や調理に強みがある学校で、情報はなかなか手薄だった。まずは教材を導入して、プログラミング教育、情報教育を強化していこうと考えたところに、みんなのコードさんが来てくれた」(日本女子大学付属中学校・國澤恒久教頭)
「小学校でのプログラミング必修化と、高校の情報教育から大学入試共通テストなどの話題はよく聞くものの、中学校については話題にもなっていないのが極端な話だと思った。時間が限られていたりするなかで発展が進みにくいというのが中学校の特徴、課題ではないかと思っている」(みんなのコード・利根川裕太代表理事)
中学校では「技術・家庭科」の一部に位置付けられている情報教育。そこに課題を感じていたと國澤教頭は話す。
「生徒にはとにかく選択肢、可能性を広げてほしい。将来の学びや夢に出会う機会は設けられているかなと考えた時、情報分野、ICT(情報通信技術)分野は弱かったのではないかと思った」
3年間のカリキュラムでは「プログラミングとは何か」「生成AIについて」など、基礎の基礎から学び始めていくという。“情報教育強化”を進めるうえで、利根川代表理事と國澤教頭がともに感じていたのは、IT分野における“教育現場から続くジェンダーギャップ”だった。
「女性が作り手にいないのは非常に大きな課題。『どうすればITに興味を持つのか』を、女子中学校で探求するというのは、非常に大きな意味があると考えている」(利根川代表理事)
「教える側やクリエイターにも男性目線がある。女性が面白いなと思うコンテンツになっているか、世の中の半数を占める女性のニーズを正しく掴めているのかというギャップは埋めていかなければいけない。これは教育現場でもいえることだ。
中学校ではとにかく選択肢・出会いの機会を多くしていく。身近になっているICTやクリエイター部分の学習機会が欠けていてはもったいない。絶対に提供しなければいけない部分だと思っている。あくまで我々は選択肢を広げる、そこから自分が本当に進みたい道を選んで行ってほしい」(國澤教頭)
(『ABEMAヒルズ』より)
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