将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)と挑戦者の伊藤匠七段(21)が激突している第36期竜王戦七番勝負第3局が10月25・26の両日、福岡県北九州市の「旧安川邸」で対局を行い、藤井竜王が96手で勝利した。60周年の記念事業として開催された本局では、地元の魅力がたっぷり詰まった“勝負メシ”を多数用意。藤井竜王も北九州のソウルフード「肉ごぼ天うどん」などでパワーチャージを図り、防衛3連覇に向けて“王手”をかけた。
本局の舞台は関門海峡に面した九州地方最北端に位置する政令指定都市・北九州市。鉄鋼・金属などの重工長大産業を中心に発展した都市ながら自然も豊かで、良質な海産物や山の幸まで様々な名物がある。本局は藤井竜王が2連勝して迎えた第3局。防衛に迫るか、挑戦者の伊藤七段が反撃を開始するか、大注目の中で争われた。
伊藤七段の先手で始まった本局は、得意の相掛かりの出だしに。受けて立った藤井竜王は「類型を含めてほとんど経験がない形」と振り返った通り、歩損の代わりに主張を求められる展開に。「1日目はカウンター気味の指し方でしたが、強くやられて少しよくない形で戦いになってしまった。2日目も途中から激しくなり、判断がつかないところが多かったと思っています」と語ったが、攻め合いになるとリードを拡大し、最後は鮮やかに詰まして勝利。挑戦者を圧倒してシリーズ3勝目を手にした。
快勝を飾った藤井竜王を支えたのは、“北九州の勝負めし”の数々。昼食・スイーツ・ドリンクが80以上公募され、全28品が両対局者へのメニューとして並んだ。藤井竜王の1日目の昼食は「北の海鮮バターライスっちゃ」。バターライスと言えば関西将棋会館で行われる対局で藤井竜王が多く注文しているお気に入りメニューだが、今回提供されたものには豊前本ガニに赤ウニ、キャビアなどがトッピングされ豪華にアレンジ。メニュー名の「~っちゃ」は、北九州の方言で軽い強調を表現しているといい、藤井竜王の目を引いたようだ。
続く2日目には「肉ごぼ天うどん」を選んだ。こちらは北九州市を中心に九州各地に店舗を構える「資さんうどん」の人気ナンバーワン商品で、ソウルフードとして親しまれている一品。九州には50店舗以上の出店があり、ABEMAの視聴者からは「すけさんだー」「これはおいしいよ!」「北九州のソウルフードきたー!」のほか、「昨日食った!」「明日のお昼はこれにしよう」とのコメントも寄せられていた。
全国各地で行われているタイトル戦だが、対局者が選んだ“勝負めし”を実際に楽しむには少々ハードルが高い。観光旅行にタイトル戦開催地を組み込むことも楽しみ方のひとつと言えるが、今回藤井竜王が選んだ勝負メシは一杯760円(税込み)、さらに九州エリアでは年中無休・24時間営業の店舗もあるなど気軽に味わうことができる商品だ。2日間で北九州グルメを満喫した藤井竜王は、「いろいろ準備をしていただいた。食事等を含めて素晴らしい環境で対局をさせていただいた」と笑顔で感謝を伝えていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)