10月28日、福岡国際センターでプロレスリング・ノア秋のビッグマッチ『ABEMA presents DEMOLITION STAGE 2023 in FUKUOKA』が開催された。

 メインイベントは、ジェイク・リーvs拳王のGHCヘビー級タイトルマッチ。王者ジェイクは今年1月からNOAHに参戦すると、3月に清宮海斗を破りいきなりGHC王座を奪取。その後、中嶋勝彦、丸藤正道、杉浦貴、潮崎豪とNOAHのトップどころを次々と下し、ここまで4度の王座防衛に成功している。そして今回、8.27カルッツ川崎で行われたN-1 VICTORY公式戦でNOAH参戦後唯一の敗北を喫した拳王を挑戦者に指名し、NOAH完全制圧を目論む。一方、挑戦者の拳王は全日本プロレスから来た“外敵”とも言えるジェイクからNOAHの至宝を取り戻すべく、不退転の決意でタイトル戦に臨んだ。

 試合は序盤、常に冷静沈着で余裕しゃくしゃくのジェイクを怒らせるべく拳王が顔面への張り手を繰り返すなど挑発的な攻撃を仕掛けるが、ジェイクは動じず。逆に身長差18cm、体重差15kgの体格差を利して、豪快なボディスラム、さらに拷問バックブリーカーで拳王の腰に集中攻撃。拳王が反撃すべく向かってきても軽くヒップトスでいなし、「終わりだ!」と叫んでからボストンクラブという基本技で絞り上げ、拳王を新人扱いだ。

 拳王も必死に反撃に転じようと後頭部へのランニングダブルニーから、アンクルホールド、蹴暴(ランニングサッカーキック)を決めて、得意のPFS(ダイビングフットスタンプ)を仕掛けるべくコーナーに上がるが、ジェイクは走り込んでのFBS(フロントハイキック)で撃墜。

 その後も拳王の反撃は単発で終わり、終始ジェイクペースのまま試合は進む。そしてジェイクはフィニッシュすべく、ジャイアントキリング(ランニングニーリフト)からバックドロップ、そしてチョークスラムにいくが、拳王はこれを跳び付き三角絞めで切り返す。

 このタイトル戦前、拳王がジェイク・リーの柔術の師匠ジエゴ・エンリケのもとで特訓を行ったが、その成果が早くも出たかのようなこの三角絞めから、オモプラータ、拳王スペシャルに移行。これにはジェイクも必死にロープブレイク。

 チャンスと見た拳王は、ついにコーナー最上段からPFSを決めるがジェイクはカウント2で返す。ならばと拳王は、切り札である炎輪(ムーンサルト式ダブルニードロップ)を狙うが、ジェイクはこれを回避。拳王はとっさに両足で着地するが、ジェイクはそこに必殺のFBSをズバリ。

 再びジェイクに主導権は移り高角度のパワーボムを狙うが、拳王はこれをフランケンシュタイナーで切り返し、さらにカウンターの右ハイキックをヒット。すかさずリング中央で拳王スペシャルを決めると、ついにジェイク・リーがギブアップ。拳王は、今年NOAHを席巻したジェイク・リーをN-1公式戦から2試合連続で下し、昨年9月以来、約1年1ヶ月ぶりにGHCヘビー級王座奪還に成功した。

 試合後、観客からの「拳王」コールを受けてベルトを両手で高々と掲げた拳王はマイクをにぎると、「GHCヘビーのベルト取ったぞー!」と絶叫。そして「見てのとおりジェイクリー、めちゃくちゃ強かったな」と前王者の闘いぶりを称賛したあと、「ジェイク・リーに『てめえはとっととNOAHから出て行け』と言ったけど、そんなもん嘘に決まってるだろ。俺はジェイク・リーともっと闘いたいし、今日のような試合がGHCの試合っていうんだろ」とアピール。

 さらにこの日NOAHラストマッチを終えた中嶋勝彦を意識してか「そういえば、絶景を求めてNOAHから去る人間がいるけど。テメーらクソヤローどもに聞く、ノアでは絶景は見られないのか?」とファンに問いかけ、「確かに今は絶景じゃないかもしれない。でも、絶景なんてな俺たちが命懸けて闘って、テメーらクソヤローどもは命懸けなくていいけどそれぐらい応援してくれたら、絶対生まれてくるものだろう。全日本の三冠ヘビー級王座に絶景はあるのか? 絶景を生み出すのはNOAHだ!」と宣言。そして「ジェイク・リー、これからもめちゃくちゃ熱い闘い、クソヤローどもが絶景と納得するような闘いをこれからもやっていこうぜ!」と、宿敵ジェイクへ今後も切磋琢磨していくべくメッセージを送った。

 するとここで突如、征矢学のテーマ曲が鳴り響きゲートから征矢がニヤリと笑みを浮かべて登場。そしてリングに上がると、「おい、俺もいるんだよ。忘れるんじゃねえぞ。拳王、信念を持っておまえをつぶさないと始まらねえんだよ。時代を作るのはおまえだけじゃない。俺も作る。次、GHCヘビー級のベルトに挑戦させてもらう。征矢学だ。そのベルトいただくぞ!」と、挑戦表明した。

 これに対し新王者の拳王は「おい、征矢! 俺はその言葉、ずーっと待ってたぞ。俺も信念をもって言わせてもらう。俺はこのプロレスリング・ノアに絶景を生み出す。絶景のスタートといえば、1.2有明アリーナだろ。そこでこのベルト挑戦させてやる!」と挑戦を受諾し、征矢と拳を合わせた。

 こうしてジェイク・リーから方舟の舵取りを取り返した拳王。“絶景”を求めるNOAHの新たな航海は、1.2有明アリーナでの元金剛同門対決から始まる。

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