大分県別府市で起きたひき逃げ死亡事件で、死亡した大学生の遺族らが、逃走を続ける八田與一(はった・よいち)容疑者(27)を「殺人罪」で告訴するも、現時点で殺人容疑には切り替えられていない。
【動画】「初動捜査は適切だった」県警側の主張
今後、道路交通法(救護義務)違反容疑から殺人容疑に切り替わる可能性はあるのか、そのためにはどんな新たな証拠が必要なのか、初動捜査についてはどう考えているかなどを聞くため、大分県警に取材を申し込んだところ、交通指導課次席の安藤竜夫警部が対面取材(カメラ・録音なし)に応じた。一問一答の一部を紹介する。
――遺族らが求める「殺人容疑」への切り替えの可能性は?
「県警としては殺人含め、過失致傷、危険運転致傷容疑なども視野に入れております。殺人容疑となると、現状は100%とも言えないところもあります。では何が足りないのか、そこはちょっと申し訳ないのですがお話できないところがあります。しかし道交法違反だけで終わる事件ではありません」
――なぜ話せないのでしょうか?
「これが足りないと、それが表に出れば、当然八田容疑者が知ることになります。逮捕した後に当然弁護士が対抗措置をとるわけです。八田容疑者を厳罰に処したい。そのために言えないところがある。そこはご了承いただきたい」
――遺族による告訴状を受理されましたが、逮捕状の容疑の切り替えについては現時点ではしないという方針でよろしいですか?
「そうですね、今すぐは難しいかもしれません。そもそも逮捕して、殺人罪で(検察が)起訴してくれるかなということです。その後の公判においても裁判官はどう判断するのかもあります。仮の話だからなかなか難しいとは思いますけど、検察官が殺人だという起訴できるまでの確たる証拠がなければ、逮捕イコール起訴ではないんです。そこで証拠収集は確実にする、という事です」
――新たな証拠収集ができないと殺人容疑には切り替わらない?
「誰も過失だと思っている人間は誰もいないです。本当に一番重たい罪で(立件したい)。当然の話ですよね」
――初動捜査について伺います。県警は適切に捜査していると繰り返されていますが、“適切“というのはどういった事でしょうか?
「うーん…現に捕まっていないですからね。その日のうちに逮捕できたのがベストなんでしょうけど、それができていない。現場では鑑識が証拠を採取して、八田容疑者を特定。そしてすぐに逮捕状を請求して指名手配した。しかし、すぐに捕まえるというだけが初動捜査ではありません。それ(逮捕)ができれば一番いいですけれど、他県警の発生事情から見てもそこはなかなか、難しい面もあります。批判があるのであれば反省しなければいけません」
――我々の報道については、どう思われますか?
「何とも思わないっていうのは、嘘にはなりますけど。悔しいとは思いますよ。相手を捕まえて見返してやりたい。当然思いますよ。だけど仕方ない。実際に結果が出ていないですから。捕まってないことに対して、批判は当然あると思います。本当に、悔しいです。なので捕まえて見返してやりたいです。本当に、本当にそう思ってます。親御さんの気持ちもよくわかりますし、やっぱりお父さんお母さんの涙を見たらたまらないですよね」
【映像】大分県警との“一問一答”詳細やり取りを再現
八田容疑者は2022年6月29日、大分県別府市の県道で、信号で止まっていたバイク2台を軽自動車ではねて現場から逃走。大学生1人が死亡、1人がけがをした事件で、警察は八田容疑者を道路交通法違反の疑いで全国に指名手配。さらに、警察庁は2023年9月8日付で道路交通法違反では全国で初となる重要指名手配に指定した。
現在の道路交通法違反の時効は7年となっている。遺族は、時効のない「殺人罪」へと切り替えるべく、2023年9月に告訴。別府警察署は告訴を即日受理したが、現在も「道交通法違反」で捜査が行われている。
別府ひき逃げ事件や八田容疑者に関する情報提供は、別府警察署(0977-21-2131)や『ABEMA的ニュースショー』番組公式X(旧Twitter)のDMで募集している。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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