「京大にミスコン文化を持ち込むな」。Xに投稿をしたのは京都大学OGで教育学者の西郷南海子氏だ。きっかけは、とあるミスコンに出場した京大生が大学のPRサイトで取り上げられたことだった。
南郷氏は「京大の学園祭ではミスコンをやらないということを長年の合意としてきました」「外部のミスコンに出ることはその人の自由ですが、京大の広報に出ることは、これまで学生間で作ってきた合意とかけはなれている」と、大学の対応を問題視。抗議の電話を入れたそうだが、これが物議を醸すことになった。
今回の騒動はどこに問題があったのだろうか。『ABEMA Prime』で本人をゲストに、ミスコンとルッキズムを考えた。
西郷氏は、美の基準について「数字に置き換えたり、ランキング付けできないものだと思っている」とした上で、「特に女性の美しさは資本主義社会の影響を強く受けている。例えば、20世紀前半の絵画は脇毛がある。しかし、次第に絵の中から消えていった。それは意識が変わったというよりも、カミソリメーカーが大々的に広告を打ったから。“美しさ”というものがあるようで、実は社会的に作り上げられていることを見落としてしまいがちだ。大学は過去を振り返りながら新しい価値を目指していく場所だと思うので、ミスコンはなくていい」と主張。
これにオンラインサロン田端大学の田端信太郎氏は「メイクだった広告マーケティングが展開されている。それと脇毛は何が違うのか。メイクもしたくない人はしなくていいし、脇毛が評価されるミスコンがあってもいい。そういう形で項目を増やすならいいと思うけど、どうして出たい人に出るなとか、ミスコンを減らすという方向に行くのか」と主張した。
京都大学広報部は番組の取材に、「より多くのグローバルリーダーを排出したいという目標に向かって、彼女の歩みや思い、活動などを幅広くご紹介している」と回答。ミスコン開催の動きが過去にもあったかという問いには、「経緯も含め大学は関知していない」としている。
西郷氏は「広報の書きぶりが、“世界で一番古いミスコンにエントリーされて、日本で7000人の中で勝ち上がって…”という形で、明らかにルッキズムに訴えている。“こういう人が京大の美人なんだ”と言っていいことなのか?という思いだ。私が申し上げたのは、大学という場所としての話だ」と訴えた。
カンニング竹山は「ミスコンに参加したい人は出る、参加したくない人は出ない。それぞれの生き方や立場があるけど、認め合ったりするのが、多様性の社会だと思う。一方的な批難になると行き過ぎるし、伝わりづらくなる」と指摘。その上で「お笑いも点数をつけられないものだが、審査員の感覚で数値化している。それがエンタメになって、盛り上がっているわけだが、特に女性のミスコンだけが駄目なのか?」と尋ねる。
西郷氏は「私は女性が体型を維持しなければいけないことが問題だと思っている。ミスコンであれ、パリコレであれ、普通の体型とはかけ離れていて、“そういう体型じゃないといけないんだ”というメッセージとして伝わってしてしまいがちだ。そこから摂食障害になったり、メンタルに直撃する部分が大きい。消費社会で自分たちの望ましい体のあり方が決められなくなっている」とした。
実業家のハヤカワ五味氏は「型が決まっているものであれば、それに沿えばいいという話だ。しかし、大学のミスコンはかなり個人に属する。毎年同じような顔つきの人がミスになるわけでもないし、そこでの評価がいろんな人に影響を与えてしまう。そういったミスコンの先にある部分を西郷さんは懸念されてるのかなと思っている」とコメントした。
これに西郷氏は「私自身、中学生の頃は体重計の目盛りが減ることに喜びを見出してしまっていた。やっぱり人間は何か自分を保証してくれるような数字であったり、ランキングとかを欲しがる生き物だけれども、そこで立ち止まれるような社会をみんなで作っていきたいと思っている」と答えた。
田端氏は「西郷さんがおっしゃっている、女性は自分の身体を自分で決定していい、誰かに強制されるものではないというのは、その通りだ。だけど、女性はマーケティングに左右されやすいから、先回りして環境を変えるために、ミスコンや広告を規制するような方向にいくのは、ある意味で女性をバカにしている気がする。正直、他人の自由に不寛容な人に対しては、僕も不寛容を貫きたい。そうじゃないと、世の中がどんどん息苦しくなってしまう」と問題提起する。
ハヤカワ五味氏は「小学生や中学生など、判断ができない年齢の時からそういう刷り込みがされてるから今の状況になっている。そこを教育課程から変えていった上で、18歳・20歳を過ぎたら大人の責任で“勝手にやれ”でもいいのでは?」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)
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