相手に背中を向けてひたすらパウンドを浴びるも、傍らで戦況を見守るレフェリーは試合続行の“鬼ジャッジ”。攻撃する選手も「なぜ止めてくれない?」といった様子で左手を上げてアピールすれば「いや、止めて…」といった悲痛な声が漏れた異常事態に「レフェリー以外全世界が止めるレベル」と厳しい指摘が寄せられた。
11月4日にタイ・バンコクで開催された「ONE Fight Night 16」。ハリル・アミール(トルコ)とアフメド・ムジタバ(パキスタン)の試合は1ラウンド終了後、インターバル間に選手のダメージの大きさを考慮した裁定によってTKO決着が宣言される珍事に。ラウンド終了間際にボコボコ&戦意喪失でも「止めない」名物レフェリーの判断に対して、ファン、さらに解説陣から「止めるべきだったのでは?」という懐疑的な意見が殺到した。
9連勝を飾って頭角をあらわしつつあるアミールとベテランファイターであるムジタバの対戦。試合は序盤、ムジタバがキムラロックで際どいシーンを作るも、後半トップポジションで上になったアミールが驚異のパウンドを連打。しかし、傍らで戦況を見守るレフェリーがひたすら、これを静観。ムジタバも下から三角を狙うが、顔を覆うほどボコボコに殴られ完全に戦意を喪失。ファンから「あかん」「止めろ」「貰いすぎ」など悲痛な声が上がるも、この試合のレフェリーは、ちょっとやそっとじゃ止めないことで知られているハーブ・ディーン。
そうこうしているうちに、殴られ続けたムジタバは、ストップの救済もなくフルボッコ。カメになって足元もグッタリの惨状にABEMA解説・大沢ケンジは「ハーブ・ディーンは止めないですよ。他のレフェリーなら止めてます」と予想。嫌な予感が的中すると「いや、止めて…」と悲痛な声が漏れた。
かろうじてラウンド終了のゴングに救われたムジタバ。しかし、ゲスト解説の大崎孔稀も「結構危なかったですよね」とコメントするほどの惨事だ。その後、ムジタバはコーナーに戻ったところで、試合続行不可能と判断され試合終了となった。
予想外の決着に大沢は「サブ・レフェリーやドクターなどから”止めろよ"と言われたのでは?」と推測。さらに「多分ハーブ・ディーン以外全世界が止める」などと、珍しくレフェリーに批判的な意見を述べた。ファンや解説陣の間でも「なかなか止めない名物レフェリー」でお馴染みのハーブだが、完全に折れた選手にのんびり静観は誰が見ても悪手だったようだ。