気になる人と話をした。綺麗な景色を目の当たりにした。誰もが一度は感じるであろう「ときめき」という感情を“見える化”するイヤリングがある。開発した企業の代表に話を聞いた。
山本愛優美さん、22歳。慶應義塾大学大学院に通う傍ら、株式会社e-lamp.の代表を務めている。e-lamp.では今年4月、あるアクセサリーを発売した。
「ドキドキに合わせて光るイヤリングとなっています」
彼女の耳元でぴかぴかと点滅するイヤリング。その名も「e-lamp.」。光が表すのは付けている人の“ときめき”だ。
「耳たぶから私の心臓の脈動を読み取っていて、ぴかぴかと光っている点滅が心臓の動きと連動している」
耳たぶについたセンサーがユーザーの心拍数を測定。心拍と連動してイヤリングが点滅し、心臓からの血液量に応じて、青、緑、赤と光の色が変化。これによって自らの感情を周囲と共有できるようになるという。
日本では、古来より使われてきたという「ときめき」という感情。山本さんによると、近年の研究で「未来に対する期待感で胸が高揚すること」と定義されるようになったそうだ。
現在もときめきに関する研究を行っているという山本さん。その原点は、高校時代にあると話す。
「自分のモチベーション・原動力が『ときめき』という感情によって生まれていることを高校3年生のときに感じた。そこから大学に進学して、『ときめき』を研究したいと思うようになった」
研究の傍ら、ときめきに関する事業を立ち上げたいと考えるようになった山本さん。たどり着いたのが、イヤリングを使った感情の可視化。こうして、2023年4月にe-lamp.の販売を開始。これまで、愛媛県での婚活イベントやアイドルのライブなど、様々な場面で実証実験を行っている。
「愛媛県の婚活イベントで使っていただいたところ、マッチング率が3倍になった。感情、心拍を可視化するといった体験は、本当にいろいろな市場に発展していくだろうなと可能性を感じている」
その一方、生体情報の活用について山本さんは、倫理的な観点などから「慎重な配慮が必要になる」と述べる。
「生体情報の活用に関しては、まだ明確な法律がないことが大きな課題だ。デバイスが普及していくと同時に、そこの規制はこれから必要になってくるだろう。『心を見せることが怖い』『むしろ関係が悪くなってしまうのではないか』という懸念はあると思う。社会の声を聞きながら実装していきたい」
今後、照明やペンライトといったデバイスの開発に加え、表情や目線なども含めた“感情を共有する新たな体験”を作りたいと話す山本さん。もしも「心」が可視化されたら、社会はどう変わるのだろうか。
「私はポジティブな未来を考えている。ときめきが見えることによって、自分が『これ素敵』と思ったとき、すぐに周りの人へ伝えたりシェアできる。自分がこれまで伝えられなかったような感情を相手に伝えることができるのではないか。『コミュニケーションの壁』というのを、性別・年齢・人種を越えて、繋がっていけるような社会が来ればいいなと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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