「堂々ともらえばいい」 “給与引き上げ法案”への批判に慶大大学院教授「いちゃもん付けて憂さ晴らしのほうが問題」
【映像】ホリエモンも反応「アホには理解できない」
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 総理や閣僚を含む「特別職」の国家公務員の給与を引き上げる法案が10日、衆議院の内閣委員会で与党などの賛成多数により可決された。

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 国民からの批判が高まったことを受け、法案成立後に総理や閣僚などは、増額分を自主的に国庫に返納することにしている。それでも、SNSでは「批判されたから自主返納?バレなかったら懐に?国民をなめすぎ」「返すくらいなら上げなきゃいい」といった声があがる。

 社会全体で賃上げが求められる中、総理らの給与を上げることは悪なのか。『ABEMA Prime』で議論した。

 同法案は、人事院が調査した民間46万人の給与平均との差額を計算し、月例給を平均3869円(+0.96%)、ボーナスを0.10カ月分増額するもの。総理は年間で46万円、閣僚は32万円引き上げられる内容などが盛り込まれている。一般職は8月の人事院勧告を元に、同じ割合で引き上げが済んでいる。

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 国民民主党の玉木雄一郎代表は、「内閣提出法案であり、閣議決定時に自主返納を発表していればこうならなかった」と述べる。

「公務員全体を考えた時、総理大臣や事務次官の給与は超えてはいけないということがある。これがネックになって良い人材が採れないこともあるので、ある程度機械的に、人事院勧告に基づいて上げていったらいい。ただ、今回は法律どうこう以前に、政治的センスがないと思っている。全体の給与体系を歪めない、けれども国民感情に寄り添うなら、“我々は自ら返納する”と閣議決定の段階で言えばよかった。自公与党の事前審査を受けているし、大臣も目を通しているのに、誰もこういうことを想像できなかったのが一番の問題だ」

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 一方、元大蔵官僚で慶大大学院教授の小幡績氏は「バカバカしい。こんな批判が起こるのは日本だけだ」と指摘する。

「返納するのもどうかしていて、堂々ともらえばいい。2億円でも3億円でもいいと思う。むしろ問題は、なぜ揚げ足を取ったり、いちゃもん付けて憂さ晴らしをする風潮になるのか。批判するなら“この政策が悪い”と言えばいいのに、やっぱり“俺らの税金で食ってんだろ”という話になる。総理に愚痴をぶつけているが、実は権力者が一番弱い立場にある。文句を言われたら『すみません』以外言えない。ただの弱いものいじめだ。政策や政治に不満があるなら選挙で落とせばいいし、候補がいないなら自分が(選挙に)出るほうが妥当だと思う」

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 元経産省キャリア官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「給与は上げてもいいと思うが、そもそも岸田さんは庶民の給与に対して鈍感ではないか」と疑問を呈した。

「10月は社会保険料が改定される時期で、みんな増税みたいなものを感じているわけだが、そこが岸田さんには見えていないのだろう。今回のことも、“自分たちのことを理解してくれている人の給与が上がった”ではなく、“超然と上にいる、我々の生活に興味ない人の給与が上がった”という感覚。上げたっていいけど、そこで“何か問題ある?”みたいな顔をされるはむかつく」

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 これに小幡氏は「“庶民感覚でいてほしい”と言うのも日本だけだ。総理が自分たちと同じ考えだったら、むしろ心配になるではないか。麻生太郎副総裁がバーで飲んだら庶民感覚がないとよく言われるが、僕らがたまにはスタバに行きたいと思うのと同じ。そんなことを問題視してもしょうがない。“新しい総理が欲しい”とみんな言うのに、いざなったら揚げ足を取って、飽きたら“おもしろくない。冴えない”と憂さ晴らしに使い、引きずり下ろす。それで1年ごとに総理が変わると言われているわけだ」と意見を述べる。

 宇佐美氏が「総理を批判してはいけないのか」「国民の興味があるのは自分の財布で、そこに悪影響がある時に総理の給料が上がるとなれば、カチンとくるのが一般感覚だ」と反論すると、小幡氏は「政策の根拠で批判をするのはいいけど、みなさん飽きて、選挙はエンタメだと思ってしまっている。逆に首相の給料を下げたって自分の財布に関係ない。憂さ晴らしで批判するのはやめてほしい」と答えた。

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 玉木氏は「そういう国・民主主義・民だとわかった上で、どうコントロールするか。権力マネジメントのあり方が間違っていて、これで問題になっていること自体、岸田政権の失敗だと思う。そこを支える人が急速に岸田政権からいなくなっている」と指摘した。(『ABEMA Prime』より)

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