藤井聡太竜王「互いの読み筋が合うことが多かった」“同学年”伊藤匠七段とのシリーズを総括 3連覇は「すごく嬉しい」/将棋・竜王戦七番勝負
【映像】解説者を“投了”させた藤井竜王の華麗な詰み手順

 将棋の第36期竜王戦七番勝負第4局が11月10・11日の両日、北海道小樽市の「銀鱗荘」で指され、藤井聡太竜王(名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が伊藤匠七段(21)に勝利し、シリーズ成績4勝0敗で防衛3連覇を果たした。終局後には記者会見に応じ「全体として互いの読み筋が合うことがこれまでよりも多かった。そのあたりは同世代ならでは」とシリーズを振り返り、「結果に結びつけることができてすごく嬉しい」と喜びを語った。質疑応答の主な内容は以下の通り。

【映像】解説者を“投了”させた藤井竜王の華麗な詰み手順

――感想戦を終え、第4局で苦しかった局面、勝ちを意識された局面を振り返って教えていただけますでしょうか?

 「封じ手の少し前の局面で一番激しい手順を選択したんですけど、それが危険になっていました。その辺りは苦しくしてしまったのかなと思います。それ以降は粘りに行って何とか決め手を与えないようにして、少しずつ難しい局面に持ち込めたんじゃないかなと思っています。最後は詰み筋が見えたので、そのあたりで勝ちになったのかなと思いました」

――八冠を制覇からタイトルを初防衛。本シリーズをストレート勝ちされた心境を教えてください。

 「本局は苦しい局面もあったんですけど、シリーズ全体としては比較的上手くさせた将棋が多かったのかなという風に感じています。中でも第3局は結構早い段階から定跡を外れるような展開ではあったんですけど、その中で積極的な手を続けて勝ちに繋げれたので、自分にとっても印象に残る一局でした」

――今回は伊藤七段との同学年対決としても注目を集めました。

 「伊藤七段とは同学年ということで、これまでのタイトル戦と少し違った雰囲気も感じましたし、自分としてはすごく自然体で対局に臨むことができたかなと思っています。このシリーズでは伊藤七段の強さを感じた場面も本当に多くありましたし、また今後も対戦が多くあるかなと思うので、こちらもこれからもしっかり取り組んでいかなくてはいけないなと思います」

――大山康晴十五世名人のタイトル戦19連勝の記録にも並びました。

 「そのことは全く知らなかったんですけど、そういう記録で大山先生に並ぶことができたということは光栄に思います。ただ、これまでのタイトル戦を振り返ると、紙一重の中で結果が幸いしたというものばかりだったと思うので、あまり今後もあんまりそういった記録は意識せずに、また次のタイトル戦にも臨めればと思っています」

――伊藤七段との同学年対決について、具体的にどんなところが違ったか教えてください。

 「伊藤七段とは同学年で子供の頃にも大会で対戦したこともあるので、今回は竜王戦という本当に大きな舞台ではあったんですけど、あまりそういったことを意識せずに、純粋に対局に集中して考えることができたかなと感じています」

――小学生のときに対戦した相手とタイトル戦で対局したことをどう感じているか教えてください。

 「自分にとって初めてのことで、開幕前からやはり楽しみな気持ちもありました。子供の頃に大会で当たったということ自体は自分自身はそれほどよくは覚えていないんですけど、こういう大舞台で同学年の伊藤七段と対戦できるのは、自分自身もすごく嬉しい気持ちと楽しみな気持ちが大きかったかなと思います」

――対戦して気づいたことや感じたことなど新発見はありましたか?

 「今回の竜王戦は、全体として相手の読み筋がお互い合うことがこれまでよりも多かったかなと感じているので、そのあたりは同世代ならではで、世代による棋風の違いもあるのかなと感じました」

――年内の番勝負が終了。この年末をどのように過ごしていくかお考えがあればお聞かせください。

 「これ以降は公式戦の対局は少なくなると思うので、実戦の感覚が鈍らないように注意してしっかり取り組んでいかなくてはいけないなと思っています」

――過去1年ほどはシリーズが終わるたびに感想を伺うと、「課題が見つかったので、それを克服したい」と繰り返し述べていたが、今回はそれがありませんでした。本シリーズでは課題が消えたのでしょうか?

 「いえいえ、全然。もちろん、全くそういうわけではないです(笑)。これまで同様に課題を感じたところも当然ありました。ただ、今期の第3局は自分のこれまでの公式戦の中でもかなり上手く指せた対局だったかなと思います。それ以外の対局ももちろんミスがあったりもしたんですけど、持ち時間8時間を活かして深く考えることはできたのかなと思っています」

――次のタイトル戦は年明けの王将戦七番勝負となります。王将戦への抱負と、来年のタイトル戦どう戦うかを聞かせください。

 「今月末までに挑戦者の方が決まることになると思うので、それ以降は王将戦に向けて準備をするという感じになるかなと思います。来年のタイトル戦は、基本的には大体の日程は固まっていると思うので、それぞれのタイトル戦に向けてしっかり状態に持っていけるようにということを意識して取り組んでいければと思っています」

――八冠制覇からタイトル防衛戦に臨んだことで注目を集めたと思いますが、平常心で臨むために意識されたことがあれば教えていただけますでしょうか?

 「竜王戦が始まった時から王座戦の結果に関わらず、竜王戦は竜王戦という風に考えていたので、第2局以降もそのように思って臨めればと考えていました。王座戦の後には本当にすごくたくさんの反響をいただいたところはあったんですけど、竜王戦第2局はそこから2週間ほど経っていましたので、環境という点でも普段通り臨めたかなと思っています」

――北海道小樽市での対局の感想を教えてください。

 「今回の竜王戦小樽対局にあたって本当に素晴らしい環境を用意していただいたと感じています。また、前夜祭などでも地元の方に歓迎していただいていることを感じて、とても気持ちよく対局出来たなと思っています。この銀鱗荘での対局は7月の王位戦以来2回目になるんですけど、本当に眺めも素晴らしかったです。また、食事も海の幸を中心にとても美味しくいただきました」

――おやつの感想を教えてください。

 「今回の対局にあたって地元のお店からもおやつをたくさんご提供をいただいて、本当にすごくどれも美味しそうで、可能であれば全部いただきたいぐらいでした。選ぶのもすごく楽しい時間であったかなと思っています。実際いただいてみてもすごく美味しかったですし、リフレッシュして対局に集中して臨めたかなとも思っています」

――ファンへのメッセージをお願いします。

 「本局では中盤の難解な局面でお互いの距離感が上手くつかめなかったところがあったので、課題が残ったかなと思っています。ただ、その後ねばり強く指して結果に結びつけることができてすごく嬉しく思っています。ここから対局は少なくなりますが、年明けに王将戦をはじめ対局が多くあるかと思いますので、そちらでも良い将棋を指せるように取り組んでいきたいと思います」

ABEMA/将棋チャンネルより)

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