1ラウンドに2度のダウンを喫した危険水域から、試合終了間際に奇跡的な大逆転KO。レフェリーが敗者を守るべく滑り込んだド派手なKO劇。日本のキック界が生んだ若きアルゼンチンの才能は、“大和魂”で世界を魅了した劇的勝利を受けてボーナスが支給されると「母を日本に住まわせることができる」と発言。親孝行ファイターに「泣ける」「親孝行だ」など感動と祝福の声が相次いだ。
11月10日にタイ・バンコクで開催された「ONE Friday Fights 40」でリカルド・ブラボ(アルゼンチン)とオリバー・ハンセン(ノルウェー)が対戦。試合は1ラウンドに複数のダウンを奪われ終始劣勢だったブラボが、3ラウンド残り試合時間1秒で奇跡的な逆転KO勝ちを収めた。
17歳でアルゼンチンから来日して2018年に新日本キックのウェルター級王者になったブラボとノルウェーの新星・ハンセンの対戦。
1ラウンド序盤、ハンセンの強烈なヒザにいきなり沈んだブラボ。長いリーチから剛腕を振り回す相手にヒジで2度目のダウンを喫するなど、全く良いところなく、むしろ危険な状態でラウンドを終える。
2ラウンドもフレームの大きさで攻勢に出るハンセンに粘り強く耐えるブラボ。ローブローを貰い顔をしかめながらも、このラウンドも何とか凌ぎ切った。
すると、最終3ラウンドにドラマが待っていた。試合を終わらせようと前に出るハンセンに押され気味のブラボだったが、残り2分、ヒジを振り落とし畳み掛けるハンセンに対してブラボがカウンター気味に左を一閃。効いたハンセンが苦し紛れのクリンチに出るが、それを振り切ってブラボが猛反撃を開始する。
再びブラボがカウンターで右を振り抜くと、ここでハンセンが前のめりにダウン。追撃の左も効いてフラフラになりながら下がるハンセンに対し、ブラボはコーナーでアゴに左ストレート、さらに右フックを全力で振り抜いて2度目のダウンを奪い返した。
真っすぐ後ろに倒れたハンセン。ここも辛うじて立ちあがるが、最後は試合終了間際にロープを背負ったところからブラボの連打で撃沈。このラウンド3度目のダウンで仰向けになって沈むと、レフェリーが滑り込むようにハンセンの頭を抱えながら試合終了を告げた。3ラウンド2分59秒での劇的勝利だった。
終始ハンセンが圧倒していた試合をひっくり返したブラボの激闘ぶりに「まさかの大逆転」「これがサムライだ」「感動した」とファンが興奮。「1Rでダウンを取られた時は負けるかもと思った」と試合を振り返ったブラボに35万バーツ(約145万円)のファイティング・ボーナスが支給されるとブラボは「日本語で話したいんだけど、いいかな?」と断りを入れ「皆さん、こんばんは。アルゼンチンと日本代表としてONEルンピニーに来て、これからONEのキックボクシングとムエタイのベルト獲ります」と宣言。さらに2試合連続のボーナス獲得については「1回目で日本に母を連れてくることができた。2回目で母を日本に住ませることができます」と述べると「泣ける」「親孝行だ」など感動と祝福の声が相次いだ。