冨安健洋がDFのラインコントロールについて提言した。
通常、味方DFが相手にアタックしている際、近くにいるDFは抜かれた場合を想定した位置へとサポートする「チャレンジ&カバー」が定石だ。しかし冨安は「それだと“ギャップ”ができる」と言う。その真意とはなにか。
アーセナルでも日本代表でも、最終ラインのあらゆるポジションを任されてきた冨安は今、日本の守備を統率するリーダーとして君臨している。実際、2022年のワールドカップ・カタール大会以降、冨安が出場している時間の日本の失点は、約250分のうち1点しかないという。
『ABEMAスポーツタイム』(ABEMA)の特集のなかで、日本代表の守備について言及した。
「理想では、ボールサイドのサイドバックにラインを合わせて守備をしたい」
番組スペシャルサポーターの影山優佳との対話の中で、冨安はそう話した。特にセンターバックとして出場する際は、味方の位置を見ながら最終ラインの上げ下げの指示を出している。ただし「サイドバックにラインを合わせる」とはどういうことか。冨安は「そうすればギャップはなくなる」という。いったい、どういうことなのか。
「基本は、DFラインはチャレンジ&カバーしますが、(味方がサイドで目の前の相手にアタックする場合、サイドバックの横とセンターバックの目の前に)ギャップができる。そこに別の相手が入ってきてボールがこぼれたら、その時点で自分と1対1になり、相手が優位になる」
だから冨安は、サイドバックの“横”でカバーするのだ。
さらに冨安は、影山からの「(守備の)スタートの位置もめちゃくちゃ高い」という問いかけに対して、「自分は高いとは思わない」と話し、その狙いを詳しく説明した。
「ラインを高くするのが目的ではなく、全体をコンパクトにすることが目的。DFからFWまでの距離が常にコンパクトで一定であれば、僕の中ではそれが高い位置でも低い位置でも、どちらでもいい。全体をコンパクトにすればセカンドボールを拾える回数が増え、中盤を助けるためにDFを上げて、中盤も、FWも前に行ける。イコール、ボールを奪うチャンスが増える」
冨安が考えているのは、最終ラインの“横”のコントロールと、DFからFWまでの“縦”の距離感。「僕の中ではオフ・ザ・ボールでほぼ決まると思っている」と話す日本代表DFにとって、味方をコントロールする理想の守備を完璧に体現できた時、日本はさらに進化しているはずだ。
(ABEMAスポーツタイム)