【北中米ワールドカップ・アジア2次予選】日本代表 5-0ミャンマー代表(11月16日/パナソニックスタジアム吹田)
スペースがない裏への強行突破と繊細なタッチでのシュート。剛と柔を兼ねたゴールを上田綺世は決めてみせた。50分、前線でチャンスを伺う上田に対し、相手ディフェンダー2人がマークについていた。にもかかわらずその間を強引に突破すると、南野拓実が出したチップキックを浮き球で流し込んだ。
南野のアシストでゴールを決めたのは、この日2度目のことだった。上田が振り返ったように、「ボールを持った拓実くんが前を向けて、(自分が背後へのアクションを起こして決めるという)1点目と同じようなシチュエーション」から生まれた。ファーストゴールで2人のコンビネーションを再確認できたことで、出し手が前を向いてパスを蹴れる状況になるや否や、相手がいようとお構いなしに同じアクションを起こし、背後のスペースへと抜け出す。あとは飛び出してくる相手GKをよく見ながら、ゴールの右サイドネットへ冷静に決めてみせた。
「技術ある選手がああいうところ(バイタルエリア)で前を向いて相手の脅威になることで、僕が動き出すスキを作ってくれたり、違う形で侵入できることがあった。それぞれの個があってこその僕のゴールだった」とフィニッシュまでの過程を上田は言い切る。
上田はこの得点で代表で初のハットトリックを達成。国際Aマッチでは日本代表史上24人目という快挙を成し得た。
しかし当の本人は「個人的な結果もそうだし、初戦を勝てたことでホッとしている」と正直な気持ちを明かし、「正直相手が相手なので、そこまでの価値はないのかなという気もしてしまいます」と喜びを爆発させることはなく、「本質的なところは試合に勝つためのそれぞれの役割が各ポジションあって、(FWは)それが点を取るということだけ」とあくまで自分に任せられた仕事を果たしただけであると強調した。
とはいえ代表戦15試合目となった今年6月のエルサルバドル戦で初ゴールを挙げ、18試合目で快挙を達成したことには変わりない。今年に入って調子を上げる日本の背番号9は、ここからさらにゴールを積み重ねていく。