「イスラエル非難は許さない」アメリカ社会で存在感を示す、“ユダヤ・ロビー”の実態を専門家が解説「要人が多い。教育程度が高く、所得が高い」
【映像】なぜ?アメリカがイスラエルを支援するワケ
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 ガザ地区の病院を攻撃するなど、イスラエルの非人道的な行為に非難が上がるなか、なぜアメリカはイスラエルを支持し続けるのか。キーワードとなるのは「ユダヤ・ロビー」だ。
 
【映像】なぜ?アメリカがイスラエルを支援するワケ
 
 イスラエルに対して、周辺の国や機関からは国際法違反として非難する声が相次いでいる。国連安保理での「即時停戦」の合意案に、アメリカは拒否権発動を繰り返してきた。
 なぜアメリカはイスラエルを擁護し続けるのか。テレビ朝日外報部の中丸徹デスクは、「アメリカで力を持つユダヤ人が、いかに多いかということ。広義の意味では、これも『ユダヤ・ロビー』と言っていい」と説明する。

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 現在アメリカにいる「ユダヤ系アメリカ人」は、人口約3億人のうち約580万人と、約2%を占めている。中丸デスクは「このわずか2%のユダヤ人が力を持っている」と語る。アメリカ映画の象徴であるハリウッドを作ったのも、ニューヨークタイムズを買収してアメリカを代表するクオリティーペーパーに押し上げたのもユダヤ系。映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏や、グーグルを創業したセルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏、Facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグ氏、スターバックスを買収し世界的な規模に成長させたハワード・シュルツ氏らも、ユダヤにルーツを持つアメリカ人だ。

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 アメリカ政治に詳しい、上智大学の前嶋和弘教授が解説する。
 
「(ユダヤ系は)大学の教員とかも多い。あるいは今のブリンケン国務長官もイスラエルに行って、『私もユダヤの血が流れている』と説明した。やはり要人はいっぱいいると思う。比較的、教育程度が高い、所得が高い」(前嶋和弘教授)
 
 一方で前嶋教授は「要職にはついているが、でもそれで民主主義の国アメリカがどこまで動くかというと、何とも言えない」とも語る。「ユダヤ系だから金融を牛耳っている」や「政治を牛耳っている」といった言い方は、「反ユダヤ主義」にあたり、アメリカ国内ではタブーになっているという。
 そうしたユダヤ系アメリカ人が組織を作り、議員に要望を通すのが「ユダヤ・ロビー」だ。政策を親イスラエルの方向に動かそうと、ロビー活動をするユダヤ系アメリカ人による政治組織を指す。
 
「ロビーという言葉は、ホテルのロビー(と同じ意味)。あんな形で議会のところで議員に陳情していく。陳情だけではなくて、自分たちの意見を伝えていくところが大きなポイント」(前嶋和弘教授)
 
 アメリカがイスラエルを支持する背景には、強力な「ユダヤ・ロビー」の存在があるからだと言われている。政策をコントロールしているのは、資金力以外の理由もあるようだ。前嶋教授は「献金よりもやっぱり大きなものを言うのは票」と話す。

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 アメリカは人口の多数がキリスト教福音派だ。信者が信じる聖書には「神はパレスチナの地をユダヤ人に与えた」と書かれており、パレスチナを自分たちのものにするために、イスラエルを支持している。
 
「聖書を一字一句信じている人たちが、人口の中で20%から25%ぐらいいる。一番の票田が福音派であって、その福音派が何を求めているかというと、イスラエル支持。イエス再臨のためにも、間違いなくパレスチナの地には、イスラエルがないといけない、ユダヤ人がいないといけない、というのが福音派の考え方」(前嶋和弘教授)
 
 前嶋教授によると、アメリカ人の70%以上がキリスト教徒だ。「つまりユダヤキリスト教。自分たちの心のふるさとは、やっぱりユダヤ教である」といった考えがあるという。
     
 中丸デスクは、最近ユダヤ系の力を感じる出来事があったと紹介する。欧州最大級のテクノロジー会議を主催する、コスグレイブCEOがイスラエルを非難したところ、ユダヤ系IT企業が反発し、会議への不参加を表明したのだ。コスグレイブ氏は謝罪するも収集がつかず、CEO辞任を余儀なくされた。
 
「イスラエルを非難する声明は許さないぞ、という非常に強いメッセージがユダヤ系から出されて、実際に人々を動かす、象徴的な出来事だった」(中丸デスク)
 
 さらにキリスト教福音派について「これだけのボリュームがアメリカにあって、当然選挙になれば25%になるので、この人たちに反対することはなかなか言いにくい。ということは、イスラエルを支持しないといけない」と政治においても影響力を持っていると説明した。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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