目指せ“ドーナツ化現象”打破!日本全国を8つのブロックに分けた将棋の団体戦「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」の開催が決定。首都・東京を抱える『関東B』を率いるのが渡辺明九段(39)だ。全国各地の将棋熱の高まりを感じる一方、首都圏は人口の多さゆえに一競技に特化した熱は体感しにくいという。「音頭を取っていきたい。そういう役割で(監督を)任せられてると思うので」と笑う渡辺九段の構想やいかに。
8地区で最大のエントリーが見込まれるのが、渡辺九段が率いる『関東B』だ。新企画に「新鮮味があって楽しそう」という胸の高鳴りを感じるとともに、監督就任については「東京・神奈川という大所帯。自分よりも先輩もいらっしゃる中で自分がやっていいのかという気持ちもあった」という。それでも、全国各地で高まる将棋熱と首都圏の“ドーナツ化現象”のような差は、自身の中でも懸案に感じている。「東京・神奈川は人数が多い分、同郷意識はないですよね。でも将棋イベントの開催数は一番多い地域。いろいろ音頭をとっていきたいですね。そういう役割で(監督を)任せられてると思うので(笑)」と軽やかに笑った。
出身や育った場所、居住地などの中から、それぞれの棋士が思い入れを持つ地域にエントリーし結成される「地域チーム」8つが激突し、“日本一”を争う新企画。『関東B』の選手層の厚さから見れば優勝候補に挙げられるとあり、絶対に負けられない戦いだ。渡辺九段は「今回ハッキリさせたい」、と闘志をみなぎらせた…と思いきや、続いた言葉は「みなさん、鳩サブレーってどこのお菓子が知ってます?」。状況が読めずに目をぱちくりさせる周囲を置いてけぼりにするように、「これ、東京みやげだと思っている人が多いんですよ。これは鎌倉銘菓だぞ!って」と熱弁を振るった。
“将棋とおやつ”といえば、脳をフル回転させて対局に臨む棋士の栄養補給や気分転換でスイーツを好む棋士が多いほか、タイトル戦で各地を転戦する藤井竜王・名人が、対局中に食べたおやつや食事が直後から爆売れする現象も今ではおなじみとなるなど相性の良い組み合わせだ。渡辺九段も全国で対局を行う中で様々なおやつを口にしてきたものの、「東京銘菓って何すか、逆に」と疑問を持っているようだ。
人口の多さがゆえに趣味も多様化、同郷意識の薄さと同様に、渡辺九段は“東京銘菓問題”にも鋭く切り込む。「東京の人がどこかに行くときに、『これ東京銘菓です』って持っていかないじゃないですか。無いんですよ。浮かばない。浅草は一大観光地だけど、そこにあるのは浅草みやげでしょ?東京みやげってないんですよ。神奈川みやげもね」。
そこで掲げたのが「おやつ提供、募集しています(笑)」。真剣勝負はもちろんのこと、渡辺九段は将棋×スイーツの“甘い”構想も描いているようだ。「東京・神奈川の銘菓を紹介していきたいですね。試合中とかにね」。他チームの取り組みとは一風変わった方法で狙う渡辺流の地域活性化。酸いも甘いも嚙み分けた渡辺九段だからこそのアプローチに、ファンは期待せずにはいられない。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)