クマが各地で出没し、史上最多の被害が出ている。もし遭遇したら、どのような対応を取ればいいのか、専門家に対処法を聞いた。
 
【映像】クマに遭遇した場合の防御姿勢
 
 クマ研究の第一人者でもある岩手大学農学部の青井俊樹名誉教授は、クマによるけがの部位は「顔や頭、首が多い。7〜8割」だと語り、身を守る体勢を取るよう呼びかける。クマは腕の力が強く、「ウマの首の骨を一撃で折ってしまうとか、人間では顔の骨が陥没してしまう」といったケースもあると説明。さらに「牙(犬歯)がものすごく発達している」とし、太い木もバリバリと砕いでしまうほどの力だという。
 一番人間が襲われやすい、かつ重篤な結果につながりやすいのは、顔や頭への被害だ。「いよいよ襲われてダメだという時は、(両手で頭を前から抱えるポーズをしながら)カバーして、爪を触らせない姿勢を取ることが大事」と青井教授は説いた。
 クマと出会ったときには、「逃げるのが適切かどうか」という観点もあるようだ。遠くに見えた時は、背中を向けて逃げるのが良いが、こちらに向かってくることもあり、近接距離では逃げずに防護姿勢を取ったほうが良い場合もあるとした。
     
 被害に遭わないためにできることは何か。まずは「目撃情報のあるところには行かない」。もし突然出会ってしまったら、クマも興奮してパニックになり、向かってくることがある。事前に人間の存在を知らせるために、クマ鈴やラジオといった音を出るものを鳴らすほか、複数人で会話するなども大切だそうだ。撃退スプレーは、近接距離では効果が実証されているため、「いよいよ最後の手段としては、持ち歩いて噴射する」と語った。
     
 なお、クマ撃退には「大声を出せばいい」というウワサもあるが、これは「かえって興奮させることがあり得る。そーっと何も言わずに、ゆっくり後ずさりする方が安全に逃げられる場合がある」という。また、犬がほえても「逆に向かってくることすらある」そうだ。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)