畠山鎮八段、ミッションは「新・関西会館移設に華を」熱血漢は合戦に自信「楽しむ気持ちは関西人が一番持っている」/将棋・ABEMA地域対抗戦
【映像】関西B監督就任の思いを語る畠山八段

 熱血漢が重要ミッションのために立ち上がる。日本全国を8つのブロックに分けた将棋の団体戦「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」の開催が決定。大阪・奈良・和歌山の『関西B』監督就任に武者震いするのが畠山鎮八段(54)だ。関西将棋会館の新築移転を2024年に控える大阪府高槻市も配下とあり、「そこに弾みをつけるような活躍をして優勝できたら」と誰よりも熱い思いを語った。

【映像】関西B監督就任の思いを語る畠山八段

 関西会館のおひざ元、大阪府を抱える『関西B』の監督に就いたのが畠山八段だ。公式プロフィールの出身地は「神奈川県」となっているが、「神奈川で生まれ2歳で札幌に行き、8歳で大阪に来ました。札幌では将棋のルールをかろうじて覚えたくらいで、プロの将棋界を知ったのは大阪」と、自分の歩く道を決めた大阪府でのエントリーを決めた。

 監督就任は、「2001年に奨励会幹事を引き受けた時に『とにかく関西を強くしたい』と思った時の感覚が蘇りました」という。奨励会幹事時代の畠山八段といえば、熱血指導で現在の関西所属棋士の活躍の礎を築いたことで知られているが、今回向ける熱い思いは2024年に控える新・関西将棋会館の移転への地域活性化だ。「現在の大阪市福島区から高槻市に移るので、そのひとつの華として。大阪・奈良・和歌山チームで良い将棋を指して話題になって、優勝できたらいいなと思っています」と一大ミッションに向けての目標を掲げた。

 出身棋士の数、層の厚さからすれば東京が入る『関東B』に次ぐエントリーが見込まれる『関西B』。しかし、「大阪は住んでいる棋士は多いですが、優秀な棋士が京都・兵庫の関西Aに取られてしまっているような…。あれ、意外にいないな(笑)」と心配している様子。大会では、“地域エントリー制度”を元に自身の出身、育った場所、居住地などの中から、自ら所属する「地域チーム」を選択することが可能となるため、居住者の多さで一概に安泰とは行かないようだ。

 羽生善治九段(53)が今年6月の会長就任直後から掲げていた「将棋を通じての地域活性化」の思いから生まれた新企画。地域対抗の合戦となれば、「楽しむ気持ちみたいなものは関西人が一番持っているような気がします」と畠山八段の心も弾む。「和歌山は独立独歩で強いところに向かっていく気質、奈良は優雅な雰囲気、大阪は強いものへの対抗心を持っていると思います。普通にやっていたら東京を含む関東には数で勝てない。“関西人の魂”のような、より強いものを持って向かっていかなければだめだと思って棋士になりましたし、奨励会幹事の時も後輩たちにそう言っていました」。

 関東地区に加えて、八冠王となった藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が地域チームを選択することが見込まれる中部地区も優勝候補の一角だ。畠山八段が「将棋熱の高まりを感じる」と挙げる東北地区は、『北海道・東北』と広大なエリアがタッグを組んで大会に挑んでくる。「大阪は新会館建設を預かっているのでどこにも負けたくないですが、どこも強いんですよね(笑)」。元・奨励会名幹事が率いる関西Bは、新会館移設に自ら華を添えることができるか。注目したい。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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