光り輝く個性を武器に、日本一を狙う。日本全国を8つのブロックに分けた将棋の団体戦「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」の開催が決定。棋界屈指の独創的な指し回しが魅力の山崎隆之八段(42)は、『中国・四国』地区の監督を務める。エントリーが見込まれる棋士たちを思い浮かべ「洗練はされていないですが、我流で腕を磨いてきたという人が多い。それはそれで面白いのかな」とニヤリ。誰も通ったことのない“我が道”で優勝へと突っ走る。
広島県出身の山崎八段が『中国・四国』地区の監督に就任。「企画を聞いた瞬間、面白そうだなと思いました!」と瞳を輝かせた。『関東B』の監督を務める渡辺明九段(39)に次ぐ若さで指揮官に。まさか、自分がリーダー役になるとは思ってもいなかったというが、「中国・四国はそれだけ若く勢いのある棋士が多いということ」とまとめ役を担った。
中国・四国地区は、岡山県出身の大山康晴十五世名人、広島県出身の升田幸三実力制第四代名人、村山聖九段と棋史に名を刻んできた大棋士たちの出身地としても知られている。山崎八段は「その先生方のおかげもあり強い棋士がいる地方ということで、将棋熱も高く強豪地区の棋士という自信を持たせていただいているなと思います。強い棋士が多い地域という認識を自分たちも持っていますし、相手にもそう思ってもらえるというのはかなりアドバンテージかなと思います」と胸を張る。さらに「地元の棋士を熱く応援してくれているファンの方も多い」といい、ブームに左右されることなくしっかりと根付いた地元の将棋熱に信頼を寄せているという。
将棋界の個性派の筆頭格とも言える山崎八段だが、中国・四国地区出身の棋士は「洗練はされていないですが我流で腕を磨いてきたという人が多い」という。「今のようにネットを通したいろんな情報があるわけではないので、地域内での情報や教え方があると思います。僕も一部の戦法は使っちゃだめだというのがありました。穴熊も今では主流ですが、プロになるまで穴熊はしなかったですね」と修行時代を振り返った。また、戦型についての情報量も多くはなかったといい、「どの人たちも得意戦法をひたすら磨いているという印象がありました。プロ棋士の形をまねるというより、そうではなかった人が多いので、他の地域に負けないくらい個性的でのびのびした将棋が多くなったのではないでしょうか」と分析した。
“個性”という点で繋がれたチームワークが期待されそうな地域ながら、「それぞれ大阪や東京に出てしまうので、小さい頃からの接点というのはほとんどないんです。存在は知ってはいますが、各県の棋士の代表という感じが強いので、一緒に切磋琢磨して勉強してきたという感じではないんです。各々が独立して精進してきたので」。今回は鳥取、岡山、島根、広島、山口、香川、徳島、高知、愛媛の9県をまとめることになるが、「どれだけ一体感を出せるかというのも楽しみですね」と予想もできない“化学反応”を監督自ら楽しむつもりだ。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)