ついつい見てしまう、物件情報。日本にある不動産屋の数はコンビニの約2倍となる12万件以上で、間取り図は住宅情報サイトに500万件以上が掲載されている。しかし、選び放題な反面、理想の家を探すのは意外と大変なもの。
【映像】“謎の空中スペース”“玄関開けたら即トイレ” 実際の内見動画
新たな手法で物件を紹介するのが、部屋の内見動画を配信している株式会社ないけんぼーいず。紹介するのは、どう活用していいかわからない謎の空中スペースがある物件や、玄関のドアを開けるといきなりトイレが現れるマンション、さらに超狭小住宅など興味をそそられるものばかり。毎週投稿するオモシロ物件動画を集客の入り口として、会社のPRにつなげている。
住んでもらうためではなく、ポップな映像で不動産会社の「とっつきにくいイメージをなくしたい」。それが中島翔社長の願いだという。「元々、新卒で某大手の不動産仲介会社にいて、“お客様ファースト”と言いながらまったくそうじゃない感じがあった。それで稼いでも嫌だなということで転職した」。お客さんを騙すような売り方が嫌になり、現在の形に辿り着いたそうだ。
さらに、不動産業界の闇の部分を赤裸々に明かしているのが、誠不動産の鈴木誠社長だ。かつて、お客さんが来た時に「お金が入ってきた」と思っていたという。内見中に電話がかかったふりをし、「昨日見た人が申し込みしたいと言っている。今申し込めば間に合う」と急かすような悪徳営業マンだったそうだ。
しかし、一念発起して嘘をつかないお客様ファーストの会社を設立。ドラマ化もされた人気漫画『正直不動産』にも取り上げられるほどに。鈴木氏は「自分が最初住みたいと思っていた物件ではなく、不動産屋が住まわせたい物件に移動させられているケースが結構多い」と話す。
どうすれば良い物件選びができるのか。その極意を『ABEMA Prime』で2人に聞いた。
■おとり物件も多く存在? 「騙して契約させるマニュアルがあった」
中島氏は賃貸物件探しで最も重要なこととして、信用できる不動産屋を探すことだと指摘。「物件探しは、自分を理解すること。うちに来ていただいたら、まずヒアリングをする。フォームに記載してもらっているので、なぜ60平米がいいのか、なぜここに住みたいのかなどを深掘っていくと、どんどんパーソナリティと別の可能性が見えてくる」と話す。
不動産会社は、プロ専用の共通ホームページ「レインズ」から物件情報を引き出し紹介する。大手物件情報サイトはその掲載数が多いだけで、中には申し込み済みの“おとり物件”をわざと残す場合もあるという。鈴木氏は「正直まだ多い。ネットに載っている情報の5割ぐらいはおとり物件では」との見方を示す。
中島氏は「うちはレインズを一緒に見ながら、物件が本当にあるかどうかをちゃんと確認しながら行うので、嘘はない。それが一番安全だ」と明かした。
鈴木氏はかつて、お客を騙して契約させるマニュアルがあったと明かす。「中小の会社だったが、おとり物件を見て来たお客さんにどう諦めてもらうかという言い方が100通りぐらいあった。それを覚えて、お客さんに合う文言を自分でパッと考える。例えば、“大家さんがすごい厳しい方で、夜遅い時間に帰ってくると駄目なんです”“別の物件を紹介しましょう”と。そういうかたちで昔はけっこう決まっていた」。
■「仲介手数料タダ」はなぜ?
誠不動産は完全紹介制をとっている。鈴木氏は「大体どの仲介会社もお客さんに寄りがちだが、本来は管理会社とお客さんのちょうど中間にいるので、“良いお客さんを管理会社に紹介したい”というのもある。住んでから迷惑をかけないとか、家賃を滞納しないとか。管理会社や大家さんが、“あなたのお客さんだったら安心だから”と、先に物件を教えてくれたり、審査も優遇してくれたりする」と明かす。
不動産業界で悪循環が生まれてしまうシステムとして、情報サイトへの掲載があるという。「掲載料が高く、どの会社もそれを払うために仕事をしている感じになってしまっている。そこで無理やり契約させている、という話も聞こえてくる」と述べた。
「仲介手数料タダ」という物件もあるが、どのような仕組みになっているのか。中島氏は「仲介手数料は僕ら仲介の話で、敷金・礼金は大家さんに対するものだ。“仲介手数料無料”はよく見るが、物件によって広告費をオーナーさんからいただけるものがある。例えば1棟のオーナーさんだったら早く貸したいから、敷金礼金を抑えて、広告料を払ってでも決めて、全体の利回りで売る」と答えた。
良い物件は何もしなくても売れるもの。条件の悪い物件に“懸賞金(広告)”をつけて、営業に売り込ませるということもあるようだ。
■信用できる営業マンの見極め方は
では、信用できる会社・営業マンかどうかはどのように見極めればいいのか。
鈴木氏は「内見に行った時に、ちゃんと悪いところを言ってくれるかどうか。“この物件で何か気になる点はありますか?”と聞いて、ちゃんと答えてくれるような業者・営業マンを選ぶのがいいと思う。良い所は自分で見ても大体わかる。プロは、バルコニーから覗いてあの辺に灰皿がある、ゴミ屋敷はないか、駐輪場が汚くないか、などけっこう細かい点を見ているものだ」と述べる。
中島氏は「物件自体を勧めてくるというより、お客さんの気持ちを理解しようとする姿勢が大事。モヤッとしているようだったら、“どこが気に入らないですか?”と聞いて、一緒に考えてくれる人がいいと思う」と答えた。(『ABEMA Prime』より)
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