さくらインターネットが“政府クラウド”に国内企業初選定 同社社長が語った「国内対海外という論調はあまりよくない」 ひろゆき氏「防衛省の予算を使ってでもやるべき」
【映像】米国4社とさくらインターネットのクラウド部門の売上比較
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 デジタル庁は政府や自治体が共同で利用できる「ガバメント(政府)クラウド」の事業者として、IT企業のさくらインターネットを国内企業として初めて選んだ。

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 政府クラウドとは、政府や地方自治体が共同で利用するクラウドサービスのこと。住民の戸籍、マイナンバー、年金など、多くの個人情報を管理する重要なインフラだ。事業者に求められる条件が厳しく、これまではAmazonやGoogleなど海外の企業しか選ばれていなかった。

 しかし、クラウド事業の国内基盤の強化を求める声もあり、デジタル庁が今年度から公募条件を緩和したところ、2025年度末までにすべての要件を満たすとした、大阪市に本社があるさくらインターネットが選定された。

 8月に出演した『ABEMA Prime』で、「日本企業側の課題がある」とも語っていたさくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏。その内容を紹介する。

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 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「例えば、農業で『他の国のほうが安く作れるしおいしいから、日本政府は日本の農業生産品を一切買わない。全て外国から買う』と言ったら、おかしい。サーバーもそもそも『日本企業から買わない、全部アメリカから買う』はおかしいことだ」と指摘する。

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 一般社団法人ソフトウェア協会の会長で、政府クラウドへの参入を目指しているさくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏は「クラウド化の流れ自体は、非常に歓迎すべき」と述べる。

「問題は中途半端なクラウドを導入するセキュリティリスクだ。セキュリティや信頼性の要件は、下げるべきでない。今回、ハードルをしっかり越えられなかった日本企業側の課題がある。当社に限らず、しっかりやれる会社はある。一方で、機能性の部分にハードルを設けるのは、あまり本質ではないと思う」

 田中氏は「この30年、日本のITはメーカー主導だったが、本来はネット企業が担うべきだ」という。

「日本にサービス提供したアメリカ企業もメーカーではなく、みんなネット企業だ。常にアップデートする文化で、AmazonやGoogleがアメリカのITを支えるようなった。一方で、国内対海外という論調になるのは、あまりよくないなと思う。どちらかというと、古いやり方と新しいネット企業のやり方における戦いだ。例えば、基幹の部分をさくらインターネットが担ったとしても、機能部分をMicrosoftやAmazonがやることもある。すべてを日本企業にすることに、私は特にこだわりはない。『同盟国と連携しながら改革したい』という会社が、当社以外にも出てきていいのではないかと思う」

 作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏は「公共サービスの受注実績というと、日本ではここ何十年か、ほぼすべてをかつてITゼネコンと言われた4〜5社ぐらいが担ってきた。スタートアップや、その他外資系企業がまったく入れなかった時代が長く続いた」と指摘する。

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「結果的にすごく使いづらい、しょぼいシステムばかりになった。実際、マイナ保険証のオペレーションシステムもITゼネコンの1社が作っていて、エラーや不具合が出て問題になっている。今もイマイチ使いづらいものを開発する歴史、伝統が相変わらず残っている。だんだん『外資に発注してもいいんじゃないか』となってきたが、逆回転して、また古臭いものになったら困る。国内企業を振興するのであれば、ITゼネコンではなく、さくらインターネットさんやこれから成長していく可能性あるスタートアップを応援する形でやってほしい」

 ITゼネコンの弊害に関しては、田中氏も「明らかに変わってきている」と話す。

「現状のITゼネコンさんのシステムは、設計図を書いて外注して、下請けの孫請け・ひ孫請けの多重請け負い構造で作る。だから、改修するにも半年から1年ぐらいかかる。それをクラウド化してネット企業が担うようになれば、根本的に変わる。グローバルな会社といろいろ連携しながら、ガバメントクラウドをしっかり支えていけば、次の時代が来ると思う」

 ひろゆき氏は「長期的に考えてインフラエンジニアが日本から死滅することが、かなりまずい」と指摘。「政府クラウドがアメリカの会社だけだと、日本の企業もアメリカのシステム上でしか作れなくなる」と訴える。

「有能なエンジニアを育てようと考えたら、アメリカのクラウドのエンジニアだけを育てて、日本のシステムへの投資が一切なくなってしまう。インフラエンジニアを日本で育てることは、本当に国の安全保障につながる。僕は防衛省の予算を使ってでも、エンジニアを育てたり、政府クラウドにお金を突っ込むべきだと思う」

(「ABEMA Prime」より)

※この記事は、2023年8月31日に掲載した記事を再編集したものです。

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