農林水産省の調べによると、食中毒全体のおよそ4割を占めるのが、寄生虫の「アニサキス」関連だという。
【映像】“調味料では死なない”アニサキス食中毒の予防法
アニサキスは胃を食い破って、激しい痛みを伴うと思われているが、実際は分泌物に対してアレルギー反応を起こし痛みが生じる。人体に入った場合には、胃カメラで取り除くことも多いが、恐ろしさは食中毒だけではない。
フリーアナウンサーで、アニサキスアレルギー協会理事の西村綾子さんは、「アレルギーまでいってしまうと、とても厄介」と説明する。アニサキスアレルギーの場合、死んでいても残ったタンパク質に反応してしまう。西村さん自身も、アニサキス症とアレルギーの両方を発症している。それにより食生活は「ガラッと変わった」そうだ。カツオ節のように、いぶすなどの工程を経ても、アニサキスのタンパク質は残っているため、魚の成分が入っていたら「もう食べない」と語る。
最悪の場合、アナフィラキシーショックで命を落とす可能性もある。季節も無関係だが、対処法はあるのか。宮崎大学医学部寄生虫学分野の田中美緒助教は、「(アニサキスが)身に移動していないとは限らない、いくら新鮮でも。目視で確認して(取り除く)しかない」と話す。
とある鮮魚店は「ちゃんと知識を持ってやっていれば、なんの怖いこともない」と取材に答える。「知識がない人がさばくと、やはり怖い。信頼できるところで買っていれば、別に気にする必要はない」と、その道のプロとして胸を張った。
アニサキスは海水中でふ化して、幼虫となり、中間宿主(オキアミなどの甲殻類)や待機宿主(タラ・イカ・サバ・サンマなど)を経て、終宿主(クジラ・イルカ)へと食物連鎖でめぐっていく。その過程で、待機宿主が食卓にのぼり、人間の口に入る。
では食中毒にかからないために、どう対処すべきなのか。田中助教によると、アニサキスを死滅させるには加熱するか冷凍するのが効果的だという。
「釣ったお魚を食べるとなれば、できるだけ新鮮なうちに内臓を取って、よく水洗して、よくよく目で見て確認してから食べる。(アニサキスを死滅させるには)焼くか冷凍。お酢では死なない。噛んでも死なない、固く細いので、人の歯では噛み切れない」(田中美緒助教)
冷凍する場合、「ご家庭の冷凍庫だったら、2日くらいすれば安全」。家庭用冷凍庫はマイナス18度のため、2日以上冷凍すれば死滅するという。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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