自民党安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題で、収支報告書に記載のない所属議員側へのキックバックの総額がおよそ5億円に上るとみられることがわかった。 これを受け、岸田総理は安倍派所属の全閣僚を代える方向で調整に入っているという。
この問題について東京工業大学の西田亮介准教授は「近年明らかになった政治と金の問題の中でも金額の規模が大きい。今後、さらに広がりが生じる可能性がある。また、不記載は安倍派を中心としながら自民党の各派閥にもわたっており、悪質性も高い印象だ」と述べた。
岸田政権だけではなく自民党全体に影響が及ぶのか、という問いに西田准教授は「過去のリクルート事件や佐川急便事件などを振り返っても、政治と金の問題は国民の怒りに火がつきやすく、自民党全体の問題として強い危機感をもっているはずだ」と推察した。
さらに西田氏は「収支報告書不記載のお金を『何に使ったか』が重要だ」と指摘。
「企業から寄付などでお金が集めにくくなっている中、1回で1000万円以上集められる特定政治資金パーティーは政治家にとって非常に効率がいい。さらに問題はそのお金を何に使っているかだ。普通に考えれば、隠さなければならない使い道だが、この使い道が明らかになると、いっそう国民の怒りの火に油が注がれることになるだろう」
また、自民党の最大派閥である安倍派が一掃される影響については「安倍派関係者を一掃となると、安倍派から強い不満感が出てくる。そうなると、自民党の中で支持をつなぎとめることが難しくなり、党内基盤が揺らぐのではないか」と分析した。
4閣僚が交代となった場合、岸田政権への影響については「閣僚が辞めるということは、岸田総理の任命責任が問われることになる。低空飛行を続ける内閣支持率にも、自民党の政党支持率にも大きな影響が出てくるだろう。さらに、今後控えている総選挙の動向にも影を落とすことになるのでは」と説明。
仮に岸田政権が退陣となれば「次」はどうなるのか？
西田准教授は「政権を安定させることも、自民党を団結させることも難しく、次の選挙で議席を減らす可能性も高い。誰も引き継ぎたくないというのが正直なところだろう。今回の問題は派閥で起こっているため、『次』については無派閥の政治家からの登用も選択肢の一つではないか。私見に過ぎないが、国民の期待感も強い前総理大臣の菅氏の再登板や要職での起用もあるかもしれない」と述べた。
（『ABEMAヒルズ』より）
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