近距離の攻防で右のヒザが放たれた次の瞬間、仕掛けたファイターの方が突如、倒れ込んで悶絶。「いま、ちょっとどこで合わせたかわからない…」と実況が困惑した一瞬かつ衝撃KOシーンが注目を集めた。
22日にタイ・ルンピニースタジアムで「ONE Friday Fights 46: Tawanchai vs. Superbon」が行われ、クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)とファリヤ・アミニプール(イラン)が対戦。試合は1ラウンド終了間際、クラップダムがレバーをえぐり取るような強烈な一撃で悶絶KO勝利を収めた。
今年2月にONE FFに参戦し、日本の鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺)に勝利。4連勝(全体の戦歴としては15戦無敗)を飾っていた23歳のアミニプール。対するはONE FFでこれまで5試合(1つのノーコンテスト)で3勝と実力を示してきたクラップダムという顔合わせ。
試合序盤、ジリ、ジリっと距離を詰め、強烈な右ミドルから攻撃の糸口をつかんだアミニプール。さらにクラップダムをコーナーに詰めてボディや顔面への打ち分けで一気呵成の攻撃を仕掛けていく。
「一気に飲み込むか」
コーナーを背負って亀のようになったクラップダムの様子を受けて実況がそのように発言した次の瞬間、ロープを背にサイドにステップを踏んだクラップダムが強烈な左フックを一閃。コンパクトだが強烈なカウンターでの一撃にアミニプールはたまらずダウンを喫した。
「これがあるからわからない」
放送席からそんな声が上がる中、アミニプールはカウント9で試合に復帰。ここで一気に仕留めにかかったクラップダムが前に出て左右のパンチを振るうと、アミニプールが応戦。“当たれば終わり”の打ち合いが展開された。
その後、しばしの膠着状態。しかし、そんな静寂を切り裂いたのは、ルンピニーの王者に2度輝いているクラップダムだった。ラウンドの中盤を過ぎたところで、クラップダムの強烈な左がアミニプールをとらえると、アミニプールがぐらつく。解説を務めた中田大貴(和術慧舟會 HEARTS)が「効いてますね」と指摘。さらに「(アミニプールが)冷静に距離を作りながら戦っていた印象ですが、今日は結構アツなっている」と解説した直後、コーナーに詰めたアミニプールが飛びヒザ気味に鋭い右のヒザを振り抜いた。
直後、「おぅ」と驚きの声を上げた中田。それもそのはず、苦悶の表情を浮かべてリングに転がったのは、クラップダムではなく、アミニプールだった。
「無敗の選手を一撃で…ヒザがお腹に入った」と中田。実況も「ヒザか、合わせたか? いま、どこで合わせたかわからない」と困惑。その後、スロー映像が流れると「ボディアタックか…? ヒザではなく、ワンキャッチからボディストレート。肝臓をかすり取るようなパンチ」と一瞬の出来事だったダウンシーンの全容が判明した。
その後、クラップダムは勝ち名乗りを受けたが、そこにアミニプールの姿はなかった。