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 埼玉県で今、高校進学に関するある署名が行われている。それが「共学化反対」。今年8月、埼玉県の第三者機関が男女平等の観点から、県内の公立の男女別高校に関して共学化が早期に実現されるべきと、教育委員会に勧告した。これに対し、「選択の自由を奪わないでほしい」「共学化検討のプロセスを広く開示してほしい」など、OBやOGを中心に反対の声が上がり、オンライン署名が始まったのだ。

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 現在、埼玉県には浦和高校など5校の公立男子高校、浦和第一女子高校など7校の公立女子高校があり、多くが進学校として知られている。しかし文部科学省の調査によると、全国的に別学の高校は減少しており、特に男子校はこの20年で半減してしまうなど、もはや絶滅危惧種ともいえる存在に。

 共学化が進む背景には何があるのか。『ABEMA Prime』では男子校にスポットを当てて深堀りした。

■「男子校に行ったが、多様性はむしろあると感じた」

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 埼玉県男女共同参画苦情処理委員は共学化勧告の理由として、「男女共学での教育が奨励」「女子校はアファーマティブアクション(積極的差別是正措置)の点から許容されるかもしれないが、公立学校において性別で異なった扱いをするのは大問題」「歴史・伝統・主体性の尊重と共学化は両立し得る」「男子校の女性管理職数などにジェンダーギャップがある」としている。

 神奈川県の中高一貫校の男子校出身でシンガーソングライターの刈川圭祐氏は、「正直、男子校出身の方が少ない教育委員会が書いた内容かと思ってしまう。共学の方から見る“男子校のイメージ”がそのまま載っている感じだ。男子校は言うほど変な所ではないし、奇人・変人ばっかりでもない。逆に差別を感じる」との見方を示す。

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 刈川氏が考える男子校ならではの魅力は、「とにかく楽しくて仲間意識がある」「いじめやカーストが少ない」「“共学には負けない”という反骨心がパワーに」「(対男子のみ)コミュニケーション能力が上がる」「ゆがんだ環境ゆえに天才が生まれる」など。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「男子校や女子校が一定の機能を果たす」と話す。「共学にはない価値観からできるいろんなアクションがある。例えば、リーダーシップは共学ではまだ男性が取りがちな傾向がある中で、女子校なら訓練としてはやりやすい。また、ルッキズムやイケてる・イケてないという価値観が非常に多様で、オタクが評価されやすい環境がある。高校から男子校に行ったが、多様性はむしろあると感じた」。

 刈川氏も「クラスに1、2人、同性愛のような人がいるが、言い方を変えれば、性別云々ではなく本性を見ている。男同士でも惹かれるところがあって認めるという感覚は、実は男女ほど分かれていないと思う」と述べた。

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 一方、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「勧告書を読むと、埼玉県立の高校の中で、男子校と女子校で目指す学校像が明確に違っている。男子校はリーダーの育成、女子校は地域への貢献とあり、それぞれに“負の伝統”みたいなものが残ってしまっている。『だから共学化していくんだ』という意図は勧告書から感じられるので、今の制度として問題があるのも事実ではないか」と指摘。

 また、女性管理職の数について「勧告書の内容のほとんどはそのことだった」とした上で、「それを是正するためという結論になっているが、女性の管理職や職員を増やすのは共学化という選択肢以外でもできる」との考えを述べた。

■共学になると学業成績が悪化?

 2023年度の東大合格者数を高校別に見ると、開成、筑波大駒場、灘、麻布、聖光学院の上位5校はいずれも男子校となっている(上位20校中では男子校13校、女子校1校)。

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 また、韓国の国立大入試のデータによると、男子校は標準偏差値の5~10%、女子校は標準偏差値の4~7%優れているという。男女別学から共学化した学校を調査したところ、男女とも学業成績が悪化したということだ。

 安部氏は「男子校、女子校、共学という3つの話になっていが、本当はもう少し細かいグラデーションがある。学校間連携で、この授業だけ隣の女子校と一緒にやりましょうとか、別の学校だけど一緒にプロジェクトを作ろう、ということもできる。男女別学のほうが勉強の効率が高く、学力が上がりやすいんだったら、そういう形もいいのではないか」とした。

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 リザプロ代表の孫辰洋氏は「そこは何を優先するかという話。埼玉ではスコアの高い高校が男子校と女子校しかないという時、“共学のほうが行きやすい”と思う人に対して、良い共学校を作ることで代替できるのではないか」と指摘する。

 刈川氏は「経済的に私立へ行けない場合もあり、僕も共学が増えるほうが正直いいと思っている。今5校ある男子校も、減らす分には一定の効果があると思うが、なくすというのは違うのではないか」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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