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【映像】インタビューに答えるryuchellさん
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 7月に亡くなったタレントのryuchellさん。出演していた『ABEMA Prime』がPRのために撮影したインタビューの未公開部分をお伝えします。

【映像】インタビューに答えるryuchellさん

 「政治と若者」「人と違うはダメなこと?」「学校教育と居場所」「ルッキズム」「ゆとり世代といまどきの若者」「LGBTへの理解」など、多岐にわたるテーマについて語っています。(今年4月、都内で撮影。記事公開に際しては、所属事務所の了解を得ています)

■政治と若者

私たちの世代は、「誰が総理大臣、国会議員になっても世の中変わらなかった」「大変なこともいっぱい起きる」「誰がリーダーになっても日本って変わらない」と思ってしまって、なかなか選挙に行くという行動に移すことができない。自分の行動が日本を変えられるという気持ちや、国を守ってくれる大人たちへの信頼感みたいなものがどんどん失われている気がする。

それって、私はもったいないことだと思っている。「誰になっても日本は変わらない」と、うんざりする気持ちもわかるけど、みんなに権利があるのが選挙だし、自分の行動に希望を持ってほしいなって思います。

若い世代の方が立候補し、当選して議員になったとして、親近感は湧いたとしても、信頼感につながることは一切ありません。私は人を見て、発言を見て、信頼感を持つことが多いので、そこまで年齢は関係ないかなって思ったりします。

一方で、40代50代が、10代20代のことを深く理解をしているかというと、そういう方もいると思うんですけれども、難しい方もいると思っています。いろんな世代、いろんな性別の方々の生活を理解しようとしているか、そういうところかなと思います。

■人と違うはダメなこと?

 そりゃ人から嫌われたいと思ってる人はいないと思う。でも、人ってそれぞれのバックグラウンドがありますよね。育った環境や経験で全く違う考えを持ったりする。怒った時、楽しい時、真剣な時、それぞれの行動がバラバラだから、時に衝突し合ったり、手を繋げたり、いろんなことがあると思うんですね。

私は芸能のお仕事で人前に出る分、良くも悪くもいろいろなことを言われたりします。でも、人って「自分」っていうものがあるからこそ、「好き」「苦手」が出てくるのは普通のことです。たまたまある人が私のことを嫌いになったとしても、「この人が悪い」って私が決めつけるんじゃなく、この人の育ってきたバックグラウンドだとかが、その人格を形成している。どっちも正解だし、逆にどっちも性格悪いっていうことには繋がらないと思うんです。

私はどこか割り切った考えを持っていて、私のことを好きっていう人もいれば、嫌いって人もいる。そう考えた方が、より自分らしく生きていけるし、どこか鎧を外して生きていける気分になれるというか。その中で、人に合わせず自分を曲げないところもあれば、「ここは嫌われたくないから人に合わせよう」と、しなやかに生きてもいいんじゃないかなと思います。

「嫌われないようにしよう」って思うのも自分だし、「嫌われてもいいや」って思うのも自分。そのバランス感を大切に生きていけば、八方美人なんかじゃなく、それも自分らしいんじゃないかなと思う。自分を甘やかしながら、しなやかに生きていってほしいなと思います。

■学校教育と居場所

 日本は、学校と社会にすごく差がある。普通は社会に出て羽ばたいていくために、学校でしっかり教えていく、ルールがわかるような仕組みになっているといいな、なんて思うんですけれども。

学校はどうしても、敷かれたレールを歩けるのが、いい子だとなるけど、社会は自分でレールを敷ける人が抜きに出ていくじゃないですか。その自発的、独創的な考えみたいなものを、も学校でも教えられるような環境作り。生徒たちも、「みんなと一緒がかっこいい」「普通がかっこいい」「抜きん出ちゃダメだ」「目立っちゃダメだ」っていう考え方になってしまうから、いじめや仲間外れが起きてしまう。

でも、社会に出たら“人と違う”ってことが、才能・個性として認められてる。本当に抜きん出ることができることもありますし。今、置かれた環境に居場所がないとしても、学校を出たら、世の中には自分の居場所や輝ける場所が必ずある。それを伝えるためにも、私は人前に出る。

「人と違う」と言われてきて、自分でもコンプレックスやストレスを感じる夜もあるんです。それでも、学校とかで居場所を見失って「自分って本当に将来輝けるのかな?」と思ってる方に、キラキラ輝いている人もいるんだと、体現したいって私は思っている。

今つらい方、からかわれてしんどい方に、ここだけがあなたの居場所じゃない、もっと世界は広いんだよ、ということ。あなたの個性は必ず誰かが必要としていて、自分で道を作ってもいいんだよ。青色や赤色や定番な色にならなくていいし、自分で色を作っちゃっていいし、レインボーでもいいんだよ。そういうことがもう少し教育現場でも交わされるといいのかなって思います。

■ルッキズム

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 ルッキズムっていうのは、みんなが持っていると思うんですね。例えば、すごくおいしいチョコレートが百貨店に売ってる。味もおいしいし、装飾しないでも大人気なのに、可愛くデコレーションされて、なんなら箱までこだわって、みんな自分を選んでもらえるようにする。

最近はSNSも増えてきて、人間もそうなってきていると思っている。顔がちょっと良かったり、優しかったり、人情深い、そんなのは当たり前で。プラスアルファで、もっとちゃんとしなきゃ、可愛くしなきゃ、かっこよくしなきゃ、ジムにも通わなきゃ、ピラティスしなきゃ。SNSで簡単に綺麗な人が見れるからこそ、自分が選ばれるようにもっと頑張らないといけない時代になってきているなとは感じるんですね。

「綺麗」って、私の中ではいろいろなきっかけにはなると思うんですよ。夢をつかむことだったり、上京するきっかけになったり。自分が「美しい」って思うことは行動につながる、そんな気はするんです。でも、そこでつかんだ輝きや夢を繋ぎ続けることは、やっぱり中身の力が必要なんですよね。外見や、恋愛だってきっかけになるんですけれども。その幸せだったり、得たものを持ち続ける、結び続けるには、中身の力こそ勝負です。

だから、私は綺麗になりたいし、綺麗だと思われたいし、綺麗なものが大好きです。でも、中身の教養も育まなきゃ綺麗になった意味がないと思ってます。

■ゆとり世代といまどきの若者

 私は平成7年生まれなんですけれども、ゆとり世代とZ世代が被っている年。ちょっと上の先輩からは「諦めるな」「努力しろ」と言われたことがある世代。でも、のんびり悟ってしまうようなところもある。学生時代からSNSがあったので、そういう認識というか雰囲気もあったんですね。

今の若い子たちは人の失敗を簡単にSNSで見ることもできますし、「こうしたら失敗するんだ」「この人炎上してる。こうはならないでおこう」って、勝手に自分が経験したかのような気になる方も多いんじゃないかな。そこから挑戦しなくなってしまうとか、「そうなるのめんどくさいから、もういいや」ってどこかで諦めてしまったり。

でも、挑戦をしたり、行動している人もいると思う、必ず。そういう人が結果を出しますし、みんなを引っ張っていくし、抜きに出ていく。

世代間のギャップもあるけど、だからこそ若い世代の方々はチャンス。そういう時代に生まれたからこそ、1歩動くだけで3歩動いたような結果が出るかもしれない。やっぱり努力しないといけない時が、人間いつか必ずやってくるので。

ただ、ちょっと思うのが、時と場合に合わせて、諦めたほうが利口だなとか、逃げるって負けじゃないなって思う瞬間もいっぱいある。なので、「戦ったほうがいい」「負けないほうがいい」「逃げるな」「諦めるな」が、全てに当てはまるわけじゃない。しなやかな考え方は若い世代のほうが持ってると思うんですね。

そういうところも良い武器だと思うので、しなやかな考えを持ちつつも、「いや、ここは頑張ろう」「頑張ってやっていくんだぞ」という時は、ちゃんと立ち向かっていく。責任感がどんどん出てきて、下の子たちを教えないといけないとか、自分が引っ張っていかないといけないとか。

しなやかさを持ちつつ、自分の行動には責任を持つ。そんなことちゃんと感じながら、若い世代もどんどん大きくなっていくと私は思ってます。

■LGBTQの理解は広がった?

 10年前に比べたら進んでいってると思うんです。LGBTQの方々の結婚が騒がれてなかった。だけど、今は当事者じゃない人の会話の中に話題に出たりする。それだけでも1歩進んでるのかなって思う。

人が人を愛する、そして現実的な部分でもしっかり結ばれていって、国として認められる。結婚という、愛する人同士が交わしたいであろう約束。それは必ずできるようになってほしいって思っています。どんどん時代が変わっていって、「いずれはできるようになるといいな」ではなく、「変わるまで続けてやろうじゃないか」っていうような強い意思や気持ちって、本当に大切だと思います。誰かがやるのではなく、自分たちが思ったことはしっかり発言する。

ただ、LGBTQ当事者でもそうじゃない方でも、結婚に関しては誰もがしたいって思ってるわけでもないし、生き方のひとつの選択肢になることが大切だと思う。その権利はみんなにあってほしいなと思うし、結婚したくないならしないでいいっていう生き方もちゃんと選択肢として設ける。それに対して人が「結婚したらいいのに」とか強要もせず、みんながみんなの生きやすいプランで、それぞれの心が喜ぶような、気持ちいいと思うような幸せのあり方を、人の目を気にせず見つけていければいいなって一番に思います。

「多様化」っていう言葉では片付けられないぐらい、愛も、結婚も、家族も、働き方も、性別も、答えはあなたの心にしかない。全てに名前なんてあるのかな?つけなくてもいいんじゃないかな?と思うぐらい、それぞれの心に答えがある。たくさん自問自答をしながら、今の心を感じながら出た答えを、ちゃんと選べるような権利を皆さんが持てるようになる。その1つが同性婚だと思う。

本当は「同性婚」っていう言葉ではなく、普通の結婚って言いたい。だって結婚ですもん、同じだと思います。その権利がみんなにあるといいなって思っています。

■相談窓口
・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
 ※受付時間は都道府県によって異なります
・あなたのいばしょ チャット相談
 ※24時間365日 誰でも無料・匿名
・厚生労働省HPに自殺対策相談窓口一覧があります

(『ABEMA Prime』より)

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