【TOYO TIRES CUP 2024】日本代表 5-0 タイ代表(1月1日/国立競技場)
日本代表4試合目でも、存在感は絶大だった。右サイドバックで先発した毎熊晟矢は、縦関係にある伊東純也とのコンビネーションでチャンスを量産。日本代表の新たな武器となる可能性を示した。
2023年の9月シリーズ・トルコ戦で、1アシストを含む2得点に絡むなど鮮烈なA代表デビューを飾った舞熊。すると10月シリーズのカナダ戦、11月シリーズのミャンマー戦と継続的に出場機会を与えられた。
迎えた2024年の初戦。「新戦力の発掘」と「戦術浸透」をテーマに臨んだタイ戦で、右サイドバックとして先発出場すると、縦関係にある伊東と好相性を見せる。伊東がアウトサイドにポジションを取れば、舞熊はハーフスペースに。伊東がハーフスペースに侵入すれば、舞熊はアウトサイドから追い越す動きで高い位置へ。
「僕は常に純也くんを見ていますし、純也くんも僕を見てくれている。アイコンタクトができています」と自信をもって語ったように、右サイドから阿吽の呼吸でチャンスを作っていった。
すると30分には、2人の関係性でチャンスを作り出した。右サイドからやや内側の位置で毎熊が、佐野海舟からボールを引き出す。その瞬間に伊東は右のアウトサイドからボックス内に向かって斜めに加速。その動きを見逃さなかった舞熊は、DF2人の間を引き裂くスルーパスを送り届けた。
残念ながら伊東のシュートは決まらずアシストとはならなかったが、まさにアイコンタクトから2人が同じ絵を描いて作り出した決定機だった。
毎熊は試合後、「点に繋がらないのは何か改善の余地がある。そこの本数をもっと増やさないといけない」と課題を口にするも、「使われるのも使うのも自分の良さ。そこは今日の試合で出せた」とコメント。手応えを感じる新年の初戦だった。
次なる舞台はアジア王者奪還がかかるアジアカップだ。右サイドバックの毎熊には、菅原由勢との熾烈なポジション争いが待ち受けている。
「個人の課題は常にあると思う。攻撃が特長なので、もっと前に顔を出さないと。回数とクオリティを上げたい。アジアカップも厳しい戦いになると思いますが、そこで存在感を出せる選手になりたい」
アジアカップからその先のワールドカップへ。舞熊にとって勝負の2024年がやってくる。
取材・文:川嶋正隆